2009 Fiscal Year Annual Research Report
アジア圏域途上国における農産物流通近代化のための実践課題に関する研究
Project/Area Number |
19780171
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
豊 智行 Kagoshima University, 農学部, 准教授 (40335998)
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Keywords | カンボジア / 需給不均衡 / 広域流通 / 野菜流通 / 野菜加工 / 付加価値 |
Research Abstract |
本研究の目的は、途上国での農産物流通開発を念頭におきながら、農産物流通近代化のための実践課題を解明することである。それを実証するために計量分析、現地事例分析による接近及び解明を試みるものであった。 本年度の実施計画は、(1)農業関連産業の活性化等がどのように農業・農業関連産業の付加価値形成に帰着するのかそのメカニズムを明らかにすること、(2)前年度までの分析結果とこれまでの申請者の研究蓄積をベースにアジア圏域途上国の農産物流通において流通機能構築の求められる部分、流通機能高度化の課題、その実現可能性などについて考察することとした。 以上に基づき、カンボジアにおける青果物流通の実態調査を実施した。(1)の計画に対して、カンボジアで野菜の加工はほとんどみられないが、原料ダイコンを農家から購入し、漬けものや切干加工し、独自に店を構え、消費者に販売する家族経営の事例があった。ダイコンの皮むき、カット等は家族や雇用された近隣の住民によってなされる労働集約的な加工である。このような事業形態は、ダイコンの需給調整、加工事業による新たな付加価値形成と雇用の場の提供に貢献していることを明らかにした。(2)に対しては、卸売業者から小売業者への農産物の売掛金の回収が遅延化しており、卸売業者が迅速な支払いを求める農家からの買取りに苦慮している事例があった。このような状況で農家の所得向上や卸売業者が費用を要する広域流通を担う主体となることを阻害している。これは平成19年度に定量的に明らかにした農産物の地域間需給不均衡を招いている一つの要因と考えられ、改善が求められるところであると考察した。
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