2007 Fiscal Year Annual Research Report
農業における多様な事業継承の類型化と非農家型継承システムの成立条件の解明
Project/Area Number |
19780176
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Research Institution | National Agricultural Research Organization |
Principal Investigator |
山本 淳子 National Agricultural Research Organization, 中央農業総合研究センター・農業経営研究チーム, 主任研究員 (00355471)
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Keywords | 事業継承 / 後継者 / 非農家型 / 経営継承 / 能力養成 |
Research Abstract |
ヒアリング調査により、従来の農家内での経営継承とは異なる方式での事業継承の実態を把握した。そのような事業継承として、(1)家族経営において家族が就農しなかったために、新規参入希望者など家族外の個人に対し、数年の併走期間を経て農地等の資産を引き継がせる、(2)複数の農家から成る大規模協業経営(法人)において、構成農家の家族以外の従業員を雇用し、能力養成を図って次期経営者とする、という二つのタイプが確認できた。 また、(1)については、併走期間の長さによって必要なマネジメントが異なっており、併走期間が短い場合には効率的な技術習得に向けた対応、長い場合には両者の信頼関係の構築と維持のための対応が重要であることが明らかになった。特に併走期間が長いタイプでは、技術指導についての考え方や経営者のあり方・経営理念に対する考え方が両者で異なっていることが大きな要因となって、結果的に事業継承が中断されることになった事例があった。 (2)のタイプでは、従業員の能力養成の進め方としてa.現場作業担当者から部門管理者、全体管理者へと進むキャリアパスを社内に構築する、b.分社化を行い、後継経営者候補に分社の管理運営を任せることを通して経営者能力を向上させる、という二つの方法が確認できた。 さらに(2)においては、過半の株を買い取るだけの資金をもたない従業員が、経営運営上の実質的な権限を確保できるような対応が特に重要であり、そのために投資育成会社の活用が期待されていること、また、次期経営者の選定にあたっては、従業員や創業時からの構成農家が意欲を失わないよう、選定基準やその前提となる経営理念、事業の展開方向を明確にしておく必要があることが明らかになった。
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Research Products
(3 results)