2008 Fiscal Year Annual Research Report
既存農業水利ストックの性能評価と情報一元管理に関する研究
Project/Area Number |
19780179
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
佐藤 周之 Kochi University, 教育研究部・自然科学系, 准教授 (90403873)
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Keywords | 農業水利施設 / RC構造物 / 性能設計 / コンクリートの劣化 / 中性化 / 摩耗 |
Research Abstract |
本研究課題では, 農業水利コンクリート構造物が長期供用される過程で生じる変状について詳細調査を実施し, 標準的な耐用年数に至るまでの各種劣化状況を把握することで, 供用年数と性能低下の関係を材料学的に解明すると共に, 各種劣化状況に関する情報一元管理システムの構築を目的としている。 昨年度までに, 代表的な変状のうち特にひび割れに焦点を当てた分析を終え, GISを利用した情報管理のスキル化を終えている。本年度は, 特に性能設計を具体化するためのコンクリート材料の性能評価, 性能予測に研究の重点を置いた。特に農業水利コンクリート構造物の劣化は摩耗, 中性化, 溶脱と考えられるため, これら劣化を対象とした。 まず摩耗については, 摩耗の劣化としての定義の妥当性について, 変状としての骨材露出という観点から数量的に評価し研究論文としてまとめた。続いて中性化については, その詳細評価技術が現在までに確立されたとは言い難いことから, 最もよく利用されるフェノールフタレイン法と画像解析を用いた新たな詳細評価技術に関して室内実験レベルでの検討を行い, 研究論文として報告を行った。本知見をさらに発展させることが出来れば, 詳細な中性化の進行予測および鉄筋腐食の危険度判定が可能となることから, 検討を今後も続ける予定である。さらに, 化学的侵食に関する分類される溶脱については, 特にカルシウムイオンの溶出を指標とした場合の検討と同時に, 別途セメント硬化体に含まれる各種元素の溶出特性からの評価を行い研究論文として報告した。 本年度が最終年度となるが, 昨年度および本年度の成果から, 当初の目的に対してはほぼ達成することができた。
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