2007 Fiscal Year Annual Research Report
ため池の持つ水質保全機能の定量評価とモデル化に関する研究
Project/Area Number |
19780181
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
中桐 貴生 Osaka Prefecture University, 生命環境科学研究科, 助教 (80301430)
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Keywords | ため池 / 栄養塩類 / 窒素 / リン / 流出削減 / 多面的機能 / 植物プランクトン / クロロフィルa |
Research Abstract |
農地や農業水利施設万の持つ多面的機能の1つとして,「ため池による水質保全機能」に着目し,その機能増進に向けての提案を行うことを目的に,大阪府岸和田市神於山地区に位置するため薦「傍示池」を調査対象の中心として研究を進めてきた.本年度における具体的な作業として,傍示池においてこれまでに観測されてきた水文データを整理するとともに,現地での水文および水質観測を定期的に行った.また,ため池内での栄養塩類濃度の推定モデルの検討を行った.得られた成果は以下の通りである. 過去のデータ整理の結果,既に整理されてきた2003〜2004年だけでなく2005年につ.いても,窒素およびリンの年収支でみると,傍示池が関連河川の栄養塩類負荷削減に寄与していることが万明らこかとなった. ただし,懸濁態窒素については,月別の収支を見ると,とくに夏場においで,傍示池への流入負荷量に比べ流出負荷量が大きぐなる月があることがあった.水質調査により得られたデータを分析したところ,傍示池内の懸濁態窒素濃度とクロロフィルa濃度には高い相関があることがわかり,クロロフィルa濃度の高い時期に,懸濁態窒素負荷量の収支が流入<流出となっていることから,池内での植物プランクトンの増殖により溶存態窒素が懸濁態窒素へと変化することが,この原因となっていると推察された. 推定モデルの検討では,とくに植物プランクに関わるモデル式について,実測による池内での栄養塩類濃度の変化を精度良く再現できるものを選定することができた.
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