2007 Fiscal Year Annual Research Report
変温下で農産物表面に形成されるバイオフィルムの特性把握と制御法の確立
Project/Area Number |
19780189
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
濱中 大介 Kyushu University, 大学院・農学研究院, 助教 (60399095)
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Keywords | バイオフィルム / 変温還境 / 複数混合培養 / 腐敗 / 品質 |
Research Abstract |
農産物表面には様々な微生物が付着しているが、その様相は単純な付着ではなく、数種〜数十種、あるいはそれ以上の微生物で構成され、強度に密着したバイオフィルムとして存在し、外部ストレスに対して高度な防御能力を獲得していることが知られている。このようなバイオフィルムは、単純な洗浄処理では除去し難く、農産物の微生物的安全性上、大きな問題である。本研究では、このバイオフィルムの形成特性を把握することで、有効な除去法を提案することを目的とし、19年度は、異種微生物の共存パターンの違いがバイオフィルム形成に及ぼす影響、および変温条件がバイオフィルム形成に及ぼす影響について検討した。キュウリ果実を破砕し、平板培養によって単離した数種細菌をバイオフィルム形成試験に用いた。これらは16S-rDNA塩基配列を利用した解析により、その属・種を同定した。単独培養で強固なバイオフィルム形成能を示した種類(Pseudomonas、Comamonas)を共存培養させた場合、顕著なバイオフィルム形成は見られなかった一方、単独培養でバイオフィルムが形成され難い種類の共存培養では極めて強固なバイオフィルムを形成させることが明らかとなった。また、培養温度を5〜30℃まで隔日変動させた場合、その平均温度に近い15℃一定での形成結果と比較すると1.7倍の形成量増加であった。温度変動は青果物の生理活性を増大させ、鮮度保持期間の短縮を招くことは報告されているが、温度変動はバイオフィルム形成という、微生物的な品質も大きく低下させることが明らかとなった。
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