2008 Fiscal Year Annual Research Report
変温下で農産物表面に形成されるバイオフィルムの特性把握と制御法の確立
Project/Area Number |
19780189
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
濱中 大介 Kyushu University, 大学院・農学研究院, 助教 (60399095)
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Keywords | バイオフイルム / 変温環境 / 病原微生物 / 腐敗 / 品質 |
Research Abstract |
前年度では、温度変動がバイオフィルム形成を促進させる場合もあることが明らかになったことから、20年度はバイオフィルムを形成する微生物叢の特定とともに、病原微生物を用いた検討も行った。キュウリ果実由来微生物群の形成能において、変温条件は15、30℃の一定温度培養と同程度となることが明らかとなった。一方、キャベツ由来微生物群では、5℃から30℃への温度上昇時に急激な形成能の増加が認められた。キャベツより検出された微生物は、キュウリ果実のものと比較すると、検出された属が多いことが特徴であり、キュウリ果実からはAcinetobacter属やPseudomonas属が多く検出された一方、キャベツではこれらに加え、腸内細菌下のErwinia属やKlebsiella属、Pantoea属等、更にグラム陽性細菌のStaphylococcus属も検出された。以上のことから、バイオフィルム形成の特徴の差は、構成する微生物叢の種類の多寡に影響されると考えられた。病原微生物については、5℃から30℃へ上昇させた場合、30℃一定温度区と比較して顕著な形成能の増加を示した。その後、培養温度を5℃へ低下させたとしても形成能の低下は僅かであった。この傾向は供試した黄色ブドウ球菌とサルモネラ双方について同様であり、低温管理中の一時的な高温暴露はバイオフィルム形成を促進させる可能性があると考えられた。
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