2009 Fiscal Year Annual Research Report
高圧処理により誘起される農産物の形質転換に関する研究
Project/Area Number |
19780190
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Research Institution | Nigata University of Phermacy and Applied Life Sciences |
Principal Investigator |
上野 茂昭 Tohoku University, 大学院・農学研究科, 助教 (80410223)
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Keywords | 高圧処理 / 農産物 / 形質転換 / 機能性 / 遊離アミノ酸 / 抗酸化性 / 物質移動 / Hi-Pit |
Research Abstract |
本研究では,農産物に高圧処理(200-600MPa, 0-60min)を施し,処理直後の試料の物理化学的特性を定量的に測定すると共に,圧力処理後に保存した試料の成分変化を検討した.高圧処理により内部組織構造が損傷を受けた結果,物質移動が促進されたことにより試料内部で二次代謝反応が促進され,カブの青緑変色,タマネギの抗酸化性の富化,玄米およびダイズの遊離アミノ酸組成の変化などが引き起こされた.高圧処理は食品の高付加価値化の技術として有用であることが示された. 具体的には,玄米およびダイズの遊離アミノ酸について,横軸に未処理試料の変化速度を,縦軸に高圧処理試料の変化速度をプロットした結果,玄米およびダイズの多くの遊離アミノ酸のデータはそれぞれ直線的に分布し,その傾きは1.7となった.酵素反応系への高圧処理の影響がない場合,未処理および高圧処理試料の変化速度が等しいため,傾き1.0の直線上に分布する.また傾きが1.0より大きい領域において直線的な分布をとる場合,高圧処理によって変化速度が増大したと考えられる.高圧処理によって非特異的なタンパク質分解が促進されたために,遊離アミノ酸濃度の変化速度が増大したと考えられた.大豆中のAlaは傾き1.7より大きい領域にプロットされた.また非タンパク性のGABAは傾き1.0よりも大きい領域にプロットされた.これらのアミノ酸の合成反応が高圧処理により促進されたと考えられた,以上のことから,特定のアミノ酸代謝系が高圧処理の影響を受けることが示唆された.
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