2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19780191
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Research Institution | National Institute for Agro-Environmental Sciences |
Principal Investigator |
石塚 直樹 National Institute for Agro-Environmental Sciences, 生態系計測研究領域, 任期付研究員 (20414500)
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Keywords | 衛星リモートセンシング / マイクロ波 / 合成開口レーダ(SAR) / 偏波 / 水田 / 湛水 / 波長 / ALOS |
Research Abstract |
合成開ロレーダ(SAR)は天候に関係なく観測ができ、湛水域の抽出能力に優れている。本研究の目的は、国産衛星ALOS(「だいち」)に搭載された世界初となる衛星搭載型Lバンド多偏波SARセンサであるPALSARのデータを利用し、農地の中でも重要な水稲の作付面積を広域的に把握する上での問題点と有効性を明らかにすることである。 つくば周辺において、水田地帯2カ所、ハス田地帯1カ所の3カ所を対象地として設定した。対象地において水稲の作付前から刈り取りが完全に終わるまでの間の13シーンのPALSARデータを集めたが、多偏波観測によるデータ取得が少なく、もっとも水稲の生長が大きい時期である7月に多偏波データが無いなど(7月にはちょうど新潟県中越沖地震が発生しているため)、時系列多偏波データの解析を十分に行うには至らなかった。 一方、単偏波の時系列変化を見ると、水稲生育期間中における後方散乱係数の増大は小さく、水稲の生長との明確な関係はみられなかった。また、愛知県において行った研究からも、裸地の水田圃場と転作コムギとの区別が困難、湛水圃場と非湛水圃場との後方散乱係数の差が小さいため区別が困難という結果になり、波長の長いLバンドのSARで湛水域の抽出が困難であるという意外な結果が得られた。これらのことから、一般的に言われているSARを用いた水田や湿地などの観測が、容易には困難であることが明らかとなった。昨今問題が大きくなりつつあるコメ生産の場である水田面積の把握や、大規模洪水など湛水域に関わる環境の広域把握手法はますます重要度を増しており、今後もSARを用いた基礎的な知見を積み重ねていく必要性が高い。
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