2009 Fiscal Year Annual Research Report
傾斜地畑における環境保全型施肥管理を行うためのシミュレーション最適化モデルの開発
Project/Area Number |
19780194
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
竹内 潤一郎 Kyoto University, 農学研究科, 助教 (20362428)
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Keywords | 精密農業 / 地形連鎖 / 数値モデル / 最適施肥設計 / 窒素動態モデル / 灌漑スキーム |
Research Abstract |
(1) サツマイモの試験栽培と土壌水の定期的な採取と水質測定,気象観測 対象地とした愛知県みよし市の傾斜地における農地において,昨年度に引き続き,サツマイモの試験栽培を行った.(1)施肥あり・作物あり,(2)施肥あり史作物なし,(3)施肥なし・作物なしの3種類の試験区画において,10cm,20cm,30cmの深度で毎週土壌水を採取し,硝酸およびアンモニア態窒素の濃度を測定した.また,当該農地における気象観測と土壌水分量の観測を行った.これらのデータは,昨年度のものと合わせてモデルパラメータの同定と検証に供された. (2) 数値モデルの開発と傾斜地地下水位変動に関する解析 開発した3次元水・熱連成型モデルによるシミュレーション結果から,地下領域における溶質の水平方向の移動は飽和領域において顕著であることが推測されたため,地下水位の季節変動に着目し,スペクトル解析を行った.その結果から,水田灌漑期と蒸発量の少ない冬期においては,地下水位の降水応答として鉛直浸透成分と上流側からの側方流成分に分けられることが示された.また,灌漑終了後の8月以降の夏季・秋季においては,まだ蒸発量も多く比較的土壌が乾燥している状態のため,地下水位の変動には鉛直浸透成分は見られず,側方流下成分のみであることが示された.すなわち,周囲を水田に囲まれた転作農地においては,灌漑期間中は少量の降雨でも肥料成分の溶脱が起こることが示唆される. (3) 意思決定支援システムの改良 すでに開発済みの過去の気象データから肥料の流出を統計的に最小にする施肥設計モデルを施肥計画のベースとし,短・中期天気予報から実際の施肥日を決定するif-thenルールベースの意思決定支援システムを,気象予報の確率を導入することのできる動的計画法を用いたものへ改良した.これにより,中期天気予報から土壌水分量の遷移確率を考慮して施肥実施日を決定することが可能となった.
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Research Products
(2 results)