2007 Fiscal Year Annual Research Report
ポジトロンイメージングによる根粒-植物の共生システムの解明
Project/Area Number |
19780196
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
石井 里美 Japan Atomic Energy Agency, 量子ビーム応用研究部門, 研究職 (10391286)
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Keywords | 窒素固定 / ポジトロンイメージング / 13^N_2ガス |
Research Abstract |
根粒菌による窒素固定は、マメ科植物にとって重要な窒素源であるとともに、子実の収量を左右する重要な生理機構である。窒素固定のイメージング及び固定窒素の二次元分布に関する情報の取得が難しかったため、固定窒素の輸送や集積については不明な点が多い。 そこで本研究では13N_2ガスを用いてダイズ植物における固定窒素の分布をイメージングし、根粒で固定された窒素の輸送について定量的に評価することを目的とした。 平成19年度はイメージングに適した13N_2ガスを製造し、植物を用いてその評価を行なった。BASイメージングを用いて、根粒よって固定された窒素の二次元分布を得ることに成功した。また、根粒中の固定窒素量の定量を試みた。 供試植物として、根粒菌(Bradyrhizobium japonicum USDA110)を種子接種し、水耕栽培した播種後35日のダイズ植物(Glycine max [L.] Merr.)cv. Williamsを用いた。まず、CO_2(10%Heを含む)にプロトンビームを照射して13Nを製造し、照射後のガス成分を分析した。さらにソーダライムにより、窒素固定を阻害するCO_2を除去して植物に投与する標識窒素ガスを生成した。根粒の着生したダイズ植物の根に13N_2を含むガスを10分間投与した後BASでその集積を解析した。結果として、根粒着生部位に13Nの明瞭なシグナルが得られ、根粒への窒素の取り込みをイメージングすることに成功した。また、イメージングに用いた試料の部位別放射能量をNaI検出器により測定し、根粒一粒あたりの標識窒素の取り込みを評価できる可能性を示唆した。
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