2007 Fiscal Year Annual Research Report
励起蛍光マトリクスを用いたカビ毒の迅速検知・可視化手法の開発
Project/Area Number |
19780197
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Research Institution | National Agricultural Research Organization |
Principal Investigator |
藤田 かおり National Agricultural Research Organization, 食品総合研究所食品工学研究領域, 契約研究員 (50435939)
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Keywords | 可視化 / カビ毒 / 検知法 / 食品安全性 / デオキシニバレノール / 励起蛍光マトリクス |
Research Abstract |
人間や家畜などに生理的・病理的障害を与えるカビ毒汚染は、食品の安全性や安定供給の観点から深刻な問題である。中でもDeoxynivalend(DON)はコムギ、トウモロコシ、コメなどの主要穀類を中心に汚染が報告されており、人間だけでなく家畜への影響も強い。そのため日本でのDONの安全基準は2004年に暫定基準値が設定されたが、その簡易な検出法はない。 本研究の目的は,カビ毒の迅速・簡易な検出法の開発およびその局在性の可視化である。本年度の研究では、成分に固有な励起蛍光マトリクス(EEM)に着目し、光学的手法によるDON検出のアルゴリズムの構築と食品内の汚染部位の可視化を目指した。なお、本年の成果は主に下記2点に集約される。 A)多変量解析によるDON固有の波長条件の検出 本研究では蛍光分光光度計を用いて、1)EEMの計測条件の設定、2)DON溶液のEEM計測およびデータ取得、3)DON溶液特有の蛍光が見られる波長条件の探索、の3段階で実験を遂行し、以下の知見を得た。1)これまで蛍光の検知が不可能とされていたDONにおいて、微弱ではあるもののDON由来の蛍光の観察が可能であった。また、特に蛍光が観察された波長領域のデータを主成分分析により解析することで、第1主成分がDONと純水の判別に、第2主成分がDONの濃度に関与することが示唆され、DON識別に資する蛍光パターンの検出に成功した。 B)DONの簡易判別法の開発 本研究では蛍光分光光度計を用いて、1)DON溶液のEEM計測、2)EEMの数値化、3)多変量解祈によるDONの判別関数の算出、の3段階で実験を遂行することで、DONおよび純水の2グループの判別が3つの変数(波長条件)を用いた判別関数で可能となった。そのため、今回算出されたモデル式が他の混合試料中でのDON判別に展開できる可能性が示唆された。
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Research Products
(2 results)