2009 Fiscal Year Annual Research Report
宿主にとって真に有用な乳酸菌の評価・選抜法の確立と利用による家畜専用乳酸菌の提案
Project/Area Number |
19780198
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
井上 亮 Kyoto Prefectural University, 生命環境科学研究科, 講師 (70443926)
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Keywords | プロバイオティクス / ブタ / 上皮細胞 / インターロイキン12 |
Research Abstract |
昨年度に引き続きブタの腸管上皮細胞の初代培養株の樹立を試みつつ、プロバイオティクスの効果を再度詳細に検討した。ブタの腸管上皮細胞の初代培養株に関しては昨年度と同様の結果となってしまったが、プロバイオティクスの効果に関して新しい知見を得ることができた。まず、プロバイオティクスを経口投与した際の効果を詳細に解明すべく、免疫臓器ごとで効果を網羅的リアルタイムPCR法で検証したところ(マウス)、空腸パイエル板、回腸パイエル板、腸間膜リンパ節、脾臓の全ての免疫臓器で異なった効果が得られることが明らかになった。プロバイオティクスの濃度やプロセッシングの状態が関与していると考えられた。この時、上皮細胞では投与によって大きく変動した遺伝子は見られなかった。大量のプロバイオティクスと接する上皮細胞は寛容が成立しやすいと考えられ、プロバイオティクスをより効果的に作用させるためには、取り込み機構や、取り込まれてからの免疫反応をより詳細に検討する必要がある。一方で、プロバイオティクスの宿主特異性をブタ、マウスを用いインターロイキン(IL)12を指標に検討したところ、IL-12産生を強く誘導する株はマウス、ブタどちらにおいてもIL-12を強く誘導すること、逆に弱い株に関しては、どちらの動物種でも弱いことがわかった。このことから、いくつかの論文で指摘されていたプロバイオティクスの特異性は免疫刺激に関しては低いと考えられる。整腸作用等に関しては今後検討する必要がある。本研究では、これらに加えて、IL-12を誘導するプロバイオティクスの菌体成分の特定を進めた。その結果、TLR2やTLR4のリガンドではなく、核酸がIL-12を誘導する成分である可能性が高いことがわかった。
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