Research Abstract |
食品廃棄物としての茶殻やブドウ皮,カカオ皮などの食用に用いない植物の不可食部には,一般成分として求められるタンパク質や繊維の他にフェノール酸の誘導体やタンニンなどのフェノール性化合物が含まれることが多い。一般にタンニンは消化阻害作用を有することが知られている。このような食品廃棄物については既存の飼料原料とは異なり,消化阻害に関する作用を精査する必要があるが,そのような科学的な情報は乏しい。そこで,本研究では食品廃棄物15種についてタンニン含量を比色法により定量し,さらに質的な評価を行うためタンパク質との結合力を測定した。食品廃棄物に含まれる総タンニン含量は0.5-7.5%と素材によって様々であった。その傾向として,ブドウ皮や茶殻が高い含量(5-8%)を示し,バナナ果皮やピーナッツ殻が中程度(2%)で,コーヒー粕,カカオ粕,かんきつ類の果皮は低い(1%以下)値を示した。また,タンパク質(牛血清アルブミン)に対する結合力では,茶殻やブドウ皮で高い値を示し,カカオ粕,バナナ皮やピーナッツ殻が中程度の結合力を示した。一方,コーヒー粕やかんきつ類の果皮にはタンパク質結合力が認められなかった。以上の結果から,タンニン含量が高い素材に関しては,タンパク質との結合力が高いことが認められたが,低-中程度の含量では一定の関係が見出されなかった。今後,消化酵素を用いた酵素反応系において,タンニンを含む食品廃棄物の消化阻害作用を明らかにするとともに,飼料由来のタンパク質と結合性も追求する必要性がある。
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