2008 Fiscal Year Annual Research Report
反芻動物の消化生理に対する食品廃棄物由来タンニンの量的・質的評価
Project/Area Number |
19780200
|
Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
近藤 誠 Mie University, 大学院・生物資源学研究科, 助教 (50432175)
|
Keywords | 植物タンニン / 反芻動物 / タンパク質消化 |
Research Abstract |
植物タンニンの分子構造の違いが、反芻動物の消化管内におけるタンパク質消化に及ぼす影響を調べることを目的とした。植物タンニンはその構造から加水分解型タンニンと縮合型タンニンに分類される。本研究では、構造上の分類が容易な樹木由来のタンニンを供試材料として選抜し、加水分解型タンニンとしてチェストナットとミラボラム、縮合型タンニンとしてミモザとケブラチョ、混合型としてタラとガンビアのタンニン剤を用いた。これらのタンニン剤を大豆粕に10%付加した飼料を調製し、in vitroにおいてルーメン内分解率と下部消化管での消化率を評価した。ルーメン内における大豆粕のタンパク質分解率は64%であったのに対し、タンニン付加大豆粕では61.3〜17.6%と有意に低下した。特に加水分解型タンニンであるミラボラム(36.8%)とチェストナット(17.6%)で顕著に低い値を示したことから、加水分解型タンニンは縮合型タンニンと比べて、in vitroルーメン内でタンパク質分解を抑制する作用(=ルーメンバイパス作用)が高いことが示唆された。一方、下部消化管(ペプシン+パンクレアチン)でのタンパク質消化に対するタンニンの阻害作用は、縮合型のケブラチョで顕著であり、次いで加水分解型のチェストナットで高かった。しかし、同じ加水分解型に属するミラボラムでは消化阻害作用は低かった。これらの結果から下部消化管では消化阻害作用とタンニンの構造には明確な関係が認められなかった。 以上より、反芻動物の消化管内におけるタンパク質消化に及ぼすタンニンの分類は、加水分解型と縮合型の二分類に加えて、さらに他の構造上の特徴が関与することが示唆された。
|