2007 Fiscal Year Annual Research Report
肉用鶏におけるストレス感受性の品種間差と発育環境による影響についての研究
Project/Area Number |
19780203
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Research Institution | Kyushu Tokai University |
Principal Investigator |
伊藤 秀一 Kyushu Tokai University, 農学部, 講師 (60425577)
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Keywords | 肉用鶏 / 地鶏 / ストレス / 動物福祉 / 環境エンリッチメント |
Research Abstract |
本年度は、ブロイラーと天草大王のストレス感堂性に関する品種間差と、発育環境による影響を主に行動学的手法を用いて明らかにした。 (1)在来鶏およびブロイラー鶏の急性ストレスに対する反応の差異に関する実験 3週齢の肉用鶏天草大王とブロイラー雄をそれぞれ20羽用い、新奇環境への実験的暴露であるオープンフィールドテストと、猛禽類の映像を恐怖刺激とした行動テストを行った。また、他個体の存在がストレス反応に影響する可能性が考えられることから、オープンフィールド内に同種個体の写真を提示してその効果を検討した。オープンフィールドテストにおける発声回数は、品種による主効果は認められなかったが、同種他個体の写真の存在により、減少する効果が認められた。恐怖反応テストでは、発声回数は、同種他個体の写真の存在により、減少する効果が認められた。その他の行動に関しては有意な差は認められなかった。3週齢の肉用天草大王はブロイラーと比較して新奇環墳および猛禽類の映像に対する反応にほとんど違いがみられなかった。 (2)在来鶏およびブロイラー鶏の飼育環境が行動におよぼす影響に関する実験 天草大王とブロイラーを2種類の環境で飼育した。4週齢の天草大王とブロイラーを、床面積が3000cm2でオガ床(L0区)およびワイヤー床(LW区)のケージと、床面積が750cm2のワイヤー床(SW区)のケージに1羽ずつ導入した。約3週間飼育した後に行動観察を行った。天草大王のL0区はSW区に比べて1週目の採食量(p<0.05)が少なく、増体率(P<0.1)が低くなった。ブロイラーの増体率は、3週目のL0区がLW・SW区に比べて低くなった(p<0.05)が、採食量は差がなかった。天草大王の採食に費やす割合は、L0区がLW・SW区に比べて低くなった(p<0.05)。また、SW区における歩行行動は、LW・L0区に比べて低く(p<0.05)、休息行動はL0に比べ高くなった(p<0.05)。L0区におけるつつき行動は、LW・SW区に比べて多くみられた(p<0.05)。ブロイラーの行動は、処理区間に差はみられなかった。天草大王は、ブロイラーに比べて飼育環境が行動に影響をおよぼすことが示唆された。
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Research Products
(2 results)