2008 Fiscal Year Annual Research Report
マウス卵巣及び子宮において概日リズム的に発現し、妊孕性に関わる遺伝子の特定
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19780210
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
天野 朋子 Kinki University, 生物理工学部, 助教 (60388585)
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Keywords | 卵巣 / 時計遺伝子 / 概日リズム |
Research Abstract |
1. 昨年度に引き続き、マウス卵巣で発現量の増減に概日リズムが見られる遺伝子の特定を行なった。本年度は、マウス肝臓で概日リズム的な発現を示し、細胞周期のS期の形成と進行に関わるcyclinDとc-mycについて、卵巣での発現プロファイルをRT real-PCR法により解析した。その結果、これらの遺伝子の発現に周期性はなく、卵巣の細胞におけるS期の形成と進行に概日リズムの関与は薄いと考えられた。 2. 昨年卵巣で概日リズム的に発現する遺伝子として、全発現遺伝子の10%の転写制御に関わる時計遺伝子群(bmal1, per1, per2, per3, cry1, cry2)を同定した。本年度はこれらのmRNAが胞状卵胞と黄体に強く局在し、卵にも微弱ながら局在していることをin situ hybridization法により明らかにした。さらに、胞状卵胞の無い2週齢マウスの卵巣に時計遺伝子群の周期的な発現はなく、PMSG処理で人為的に胞状卵胞を形成させ、その後hCGで処理すると、時計遺伝子群の周期的発現が起こることを確認した。これらの結果から、時計遺伝子群が胞状卵胞や黄体で周期的に発現し、排卵やホルモン分泌のタイミングの制御に関わる可能性が示された。また卵子と受精卵についても時計遺伝子群の発現を経時的に観察し、これらの細胞にbma11及びcry1のmRNAは多く含まれているが、その量に周期的変動が見られないことを認めた。そのため時計遺伝子群は、卵子と受精卵において、概日リズムとは無関係にその機能を制御すると考えられた。また卵子のCRY1をsiRNA法により抑制すると、核成熟が遅れる傾向が観察されたため、時計遺伝子群の核成熟の機序への関与が示唆された。
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