2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19780216
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
大串 素雅子 The Institute of Physical and Chemical Research, 哺乳類生殖細胞研究チーム, 基礎科学特別研究員 (50437505)
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Keywords | 核小体 / 卵母細胞 / 哺乳類 / 受精卵 / 初期胚発生 / 全能性 |
Research Abstract |
我々は,哺乳類受精卵を構築し,初期胚発生を進行するために卵母細胞の核小体が必須であることを2008年に報告した。しかしこの核小体の初期胚発生進行の詳細な作用点や,この構造を構成している成分は明らかにされていない。本研究は卵母細胞の核小体成分を同定し,その機能を明らかにすることを目的としている。全能性を持つ受精卵構築に関わる核小体成分・機能の解明は全能性機序の解明につながると考えている。NPM2欠損マウス卵母細胞は核小体形成,初期胚発生進行ができない。今年度はこのヌクレオプラスミンと卵母細胞核小体の関係を中心に解析を行った。NPM2抗体を用いて卵母細胞をwhole-mount免疫蛍光染色法に供すると核小体以外の核質のみを標識する。しかし,Npm2-EGFP mRNAを卵母細胞に顕微注入し,強制発現させるとEGFPの強いシグナルが核小体で,弱いシグナルが核質で観察された。この強制発現させた卵母細胞を抗GFP抗体,抗NPM2抗体を用いて免疫蛍光染色すると核質にのみGFP抗体, NPM2抗体のシグナルが観察される。このことから卵母細胞の核小体にNPM2は存在しているが,核小体の緊密な構造ゆえに抗体でその局在を認識できないことが示唆された。さらに体外培養の系で核小体が受精後直後の前核形成に必須であることも確認できた。これまで哺乳類卵母細胞の核小体成分は明らかでなかったが本研究で初めて明らかとなった。電顕の報告によると卵母細胞核小体は緊密な線維性成分からなる直径8〜9μmの球状構造である。Npm2以外にもこの構造を構成する重要な成分があると推測している。今回の研究によりNpni2を手がかりに更なる卵母細胞核小体成分同定を可能にした。
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