2008 Fiscal Year Annual Research Report
C型ナトリウム利尿ペプチドによる脂肪蓄積メカニズムの解明
Project/Area Number |
19780217
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
辻 岳人 Okayama University, 大学院・自然科学研究科, 助教 (90314682)
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Keywords | 脂肪細胞 / CNP |
Research Abstract |
CNマウスはC型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)のレセプター(NPRB)の遺伝子であるNpr2遺伝子に突然変異をもつマウスである。前年度において、CNマウスでは腹腔内の脂肪組織量の顕著な減少と脂肪細胞の小型化が認められ、さらに脂肪細胞がCNPとNPRBを発現していることを明らかにした。これらのことから、CNP/NPRBのシグナル経路が局所的に作用することで脂肪細胞の形成に関与することが予想された。この結果をうけて、本年度ではさらにCNP/NPRBシグナルによる脂肪細胞の分化過程における役割について解析を行った。まず、CNマウスと正常マウスの繊維芽細胞を分化誘導剤により脂肪細胞へ分化させる培養条件を利用し、1. 脂肪細胞の形態比較、2. 脂肪細胞への分化度の比較、3. 脂肪細胞分化マーカー遺伝子のRTPCRによる発現比較、の3つについて解析をおこなった。その結果、分化誘導8日目において、CNマウスと正常マウスの細胞では両方とも肥大化し脂肪滴をもった脂肪細胞が認められた。また、オイルレッドO染色を行い、吸光度で染色の程度を測定しても差がなく、同程度の割合で分化が誘導されていた。しかしながら、分化マーカーの発現に関しては、発現パターンの違いが認められた。分化誘導6日目よりC/EBPα、C/EBPβ、C/EBPδの上昇、8日目よりPPARγの上昇が認められた。さらに、CNマウスと正常マウスの腹腔内脂肪組織を用いて解析しても、同じような傾向が観察された。今回の研究は、細胞培養による条件下ではCNマウスの腔内脂肪で観察から予想された脂肪細胞の異常は認められなかったものの、脂肪細胞分化に重要な遺伝子の発現パターンが変化しており、脂肪細胞の分化過程へのCNP/NPRBの関与を初めて示す重要な結果が得られた。今後さらに、分化誘導による培養期間の延長することで肥大化への影響について解析し、CNマウスに認められた脂肪細胞の小型化の原因の解明やCNP/NPRBシグナルと発現量に変化が認められた脂肪細胞のマーカー遺伝子にどのように作用するか検討することで、脂肪蓄積にかかわる制御機構の解明が進むことが予想された。
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Research Products
(5 results)