2008 Fiscal Year Annual Research Report
ウエストナイルウイルスの中枢神経系侵入メカニズムの解明
Project/Area Number |
19780224
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
長谷部 理絵 Hokkaido University, 大学院・獣医学研究科, 助教 (70431335)
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Keywords | ウエストナイルウイルス / 血管内皮細胞 / 小胞輸送 / Eタンパク質 |
Research Abstract |
北アメリカで流行しているウエストナイルウイルス(WNV)NY株は患者の30〜40%に脳炎を引き起こす。WNVは蚊の吸血により感染し、血行性に中枢神経系(CNS)に伝播されるが、WNVが血管内皮細胞を通過し、CNSに侵入するメカニズムは明らかにされていない。本研究の目的はヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)の単層培養系を用いて、WNVが血管内皮細胞を通過するメカニズムを解明することである。19年度の研究成果から、WNVは血管内皮細胞を小胞輸送により通過することが示唆された。20年度は小胞輸送に関与するウイルス側因子に焦点を当てた。WNV6LP株の構造タンパク質を持つウイルス様粒子(VLPs)はHUVECを小胞輸送により通過するが、Eg株は通過しない。そこで、6LP株とEg株のエンベロープ(E)タンパク質を入れ替えたキメラVLPsを作出し、HUVECの透過性を評価したところ、HUVECにおけるWNVの小胞輸送にはEタンパク質に依存することが示された。また、6LP株とEg株で異なる4ヵ所のアミノ酸を1ヶ所(single mutant)または2ヶ所(double mutant)入れ替えた変異VLPsを作出し、HUVECの小胞輸送に重要なアミノ酸を決定した。その結果、WNVの小胞輸送にはEタンパク質の複数のアミノ酸が関与し、特に156番目のアミノ酸がセリン、159番目がバリンという組み合わせが重要であることが示唆された。
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