2007 Fiscal Year Annual Research Report
日本脳炎ウイルスコア蛋白質によるウイルス増殖促進機構の解明
Project/Area Number |
19780226
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
森 嘉生 Osaka University, 微生物病研究所, 助教 (40379095)
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Keywords | 日本脳炎アイルス / コア蛋白質 / カテプシンL / フラビアイルス |
Research Abstract |
日本脳炎ウイルス(JEV)コア蛋白質がウイルス粒子形成以外の機能を発揮するためには、それを制御する何らかの翻訳後修飾が関与していることが予想される。感染細胞にはウイルス粒子に取り込まれている成熟型よりも低分子量のコア蛋白質が検出されることから、この分子が粒子形成以外の機能に関与している可能性が考えられた。そこで、感染細胞におけるコア蛋白質のプロセッシングおよびその生物学的意義の解析を行った。 JEVコア蛋白質発現細胞におけるプロテアーゼ阻害剤添加、プロテアーゼの過剰発現およびプロテアーゼ遺伝子に対するRNAiにより、コア蛋白質のプロセッシングは、カテプシンLによって行われることが明らかとなった。また、精製コア蛋白質のカテプシンL切断断片の配列解析から、切断部位は18位のリジンおよび19位のアルギニン間であることが分かった。コア蛋白質がプロセッシングを受けなくなるような変異ウイルスは、サル由来Vero細胞、ブタ由来PK15細胞、およびカ由来C6/36細胞において、野生型JEVと同等の増殖性を示したが、マウスマクロファージ由来RAW264.7細胞や、マウス神経芽腫由来N18細胞では、増殖性の顕著な低下が認められた。さらに、変異JEVは野生型JEVに比べて、マウスの頭蓋内接種では約5倍、腹腔内接種においても病原性の低下が認められた。 以上の結果から、カテプシンLによるコア蛋白質のプロセッシングは、JEVの免疫細胞や神経細胞での増殖性およびマウスに対する病原性に重要であることが示唆された。コア蛋白質のカテプシンL切断部位の周辺領域はウエストナイルウイルスやデングウイルス等のフラビウイルスで非常に良く保存されていることから、これらのウイルスにおいてもカテプシンLによる切断を受け、増殖性に関与する可能性がある。
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