2008 Fiscal Year Annual Research Report
ヘテロ型コレラ毒素B鎖を用いた免疫寛容誘導生体防御分子構築と経口ワクチンへの応用
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19780227
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
宮田 健 University of the Ryukyus, 分子生命科学研究センター, 非常勤研究員 (20448591)
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Keywords | コレラ毒素B鎖 / 経口ワクチン / 免疫寛容 / 粘膜アジュバント / 疾病予防、制御 |
Research Abstract |
1型糖尿量は、2型糖尿病と比較し、その発症メカニズムが全く異なるため、その治療法も異なる。即ち、1型糖尿病は自己免疫疾患であり、インスリンを始めとする膵島由来の自己抗原に対する免疫寛容を誘導することで予防及び治療が可能であることが分かっている。それゆえに、米国を始めとしてリウマチ同様、抗原特異的免疫寛容誘導型の治療用ワクチンが期待されている自己免疫疾患である。1型糖尿病発症に最も重要とされてる自己抗原のひとつがインスリンであり、その中でもB鎖蛋白質中のB : 9-23ペプチドに主要なエピトープが含まれることも分かってきた。よって、臨床レベルにおいて予防及び治療にこのペプチドを利用することが提案されてきた。NODマウスの実験では、このペプチドのアナログ(A^<16, 19>APL)を皮下投与することで予防及び治療効果があることが示されている。今回の研究では、このペプチド断片の免疫原性を向上させるため、コレラ毒素B鎖蛋白質(CTB)との融合化を計画した。即ち、CTB-APLをCTB本来の5量体として大腸菌発現させることで、免疫寛容誘導効率を向上させることを狙った。H20年度はH19年度に構築したCTB-APL融合遺伝子をホモ型或いはヘテロ型5量体として発現させ、その発現様相を解析した。コンストラクトとして、1)C末端、2)N末端、3)N、C両末端融合型を候補としたが、まず、最も可能性が高いと思われるC末端融合法を検討した。その結果、pe1B配列保有CTBは大腸菌で顕著に分泌発現するのに対し、CTB-APLは不溶性凝集体としてのみ発現した。つまり、CTBとの融合分子は、大腸菌系ではCTB単独と発現様相が全く異なることが分かった。(この現象は酵母発現系とは全く異なる。)そこで、大腸菌から生理活性を保持した融合分子を得るため、尿素で不溶性凝集体を変性させ、徐々に巻き戻し作業を行ったところ、一部生理活性を保持した融合分子を得ることに成功した。次に、この融合蛋白質をNODマウスに経口投与したが予防効果は認められなかった。以前我々はCTB-APL発現組換え酵母自体を経口投与することで弱いながらも発症防御効果があることを確認している。よって、水溶性の融合蛋白質そのものを単に経口投与することでは、効果が低いことが判明した。よって、現在、融合蛋白質を経口投与可能なデリバリー系に乗せることで機能向上させる技術に着目して研究を進めている。
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Research Products
(9 results)