2008 Fiscal Year Annual Research Report
畜産廃水浄化のための機能性アノードを用いた電気化学プロセスの構築
Project/Area Number |
19780238
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
井原 一高 Kobe University, 農学研究科, 助教 (50396256)
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Keywords | 畜産廃水 / 電解酸化 / 廃水処理 / 廃棄乳 / 動物用抗菌剤 |
Research Abstract |
本年度は畜産施設から排出される廃水成分の中で、生物難分解性である廃棄乳および動物用抗菌剤に対し、金属酸化物アノードを用いた電解酸化法の適用可能性について検討を行った。廃棄乳に含有する乳脂肪、ラクトース、カゼインの各成会に対して、陽極材料(Ti/PbO_2, DSA)および支持電解質の影響を調べた。ラクトースは全般に分解性が良好であったのに対し、カゼインの分解速度はいずれの電解条件においてもやや低い傾向にあった。生物難分解性とされる乳脂肪は、Ti/PbO_2をアノードとして使用した場合に分解速度が向上したことから、主として電極表面近傍での反応が効果的であることが判明した。糞尿や洗浄剤を含む搾乳施設排水と比較すると、電解酸化処理は特に廃棄乳の分解に優れていることから、実際の酪農施設においては両者を混合することなく分別回収し、浄化処理を行うことが望ましいと考えられる。 動物用抗菌剤については、国内において販売量が多いテトラサイクリン系抗生物質およびセフェム系抗生物質の分解特性について検討した。いずれの抗生物質も電解酸化処理による分解性は良好であった。しかし、活性電極を用いた場合に副生成物が蓄積する傾向が観察され、アノード材料の選択と投入電荷量が重要であることが判明した。電気化学反応による抗生物質の分解処理においては、クロマトグラフィによる対象物質の定量分析に加えて、何らかのバイオアッセイを併用し抗菌性の抑止と無害化について評価する必要があると考えられた。
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