2007 Fiscal Year Annual Research Report
植物からのモノハロメタン放出の環境応答性と生理学的意義の解明
Project/Area Number |
19780249
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
中村 達夫 Yokohama National University, 大学院・環境情報研究院, 講師 (50334636)
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Keywords | 代謝工学 |
Research Abstract |
モノハロメタン合成酵素遺伝子として、シロイヌナズナよりHOL遺伝子(本研究ではAtHOL1と呼ぶ)が単離されている。本年度は、AtHOL1の相同遺伝子としてシロイヌナズナよりAtHOL2とAtHOL3遺伝子を、イネよりOsHOL1とOsHOL2遺伝子を同定し、それらのcDNA単離を行った。シロイヌナズナにおいて、AtHOL1が最もmRNA蓄積量が高く、AtHOL2、AtHOL3のmRNA蓄積量は低いことを明らかにした。AtHOL1破壊シロイヌナズナにおいてモノハロメタン放出が消失するという知見からも、細胞内のモノハロメタン合成酵素活性をAtHOL1が主に担うことが示唆される。また、シロイヌナズナおよびイネのHOLについて大腸菌を用いた融合タンパク質の合成を行った。シロイヌナズナ由来のAtHOL1、AtHOL2、AtHOL3について作成した融合タンパク質は、いずれもヨウ化物イオンに対するS-アデノシルメチオニン依存的なメチル基転移酵素活性を持つことを示した。この活性はAtHOL1が最も高く、AtHOL2はほとんど活性がみられず、AtHOL3がAtHOL1の約4割の活性を示した。シロイヌナズナの3相同遺伝子のうちAtHOL1のみが、ハロゲン化物イオンだけでなく、擬ハロゲン化物イオンであるチオシアン酸イオンに対しても高いメチル基転移酵素活性を示すことを明らかにした。シロイヌナズナの3相同遺伝子の各T-DNA挿入株を単離し解析を行ったところ、AtHOL1破壊株のみがチオシアン酸カリウムを含む培地上で枯死することを示した。チオシアン酸イオンは、ある種のグルコシノレートの分解により生成するが、AtHOL1がこの代謝に関わる可能性が示唆された。
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Research Products
(4 results)