2009 Fiscal Year Annual Research Report
グラム陰性細菌が産生する複合糖脂質の「酸性内部コア糖鎖」の合成研究
Project/Area Number |
19780250
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
一柳 剛 Tottori University, 農学部, 准教授 (00302240)
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Keywords | 糖鎖工学 / リポオリゴ糖 / リポ多糖 / グラム陰性菌 / 2-ケト-3-デオキシマンノオクツロン酸 |
Research Abstract |
本年度は、Kdo糖鎖の合成に向けた4つの項目に取り組み、以下の研究結果を得た。 1)Kdo受容体の大量合成:19年度に確立した手法により10gスケールでの受容体合成を達成した。 2)Kdo供与体の合成:上記の合成方法を利用してKdoの糖供与体合成を達成した。 Kdoの4,5位と7,8位水酸基に異なる保護基を持つフッ化糖供与体と7,8位の水酸基または4,5位水酸基を選択的に保護した受容体合成を達成した。これによりLOS/LPSの酸性コア糖鎖合成用ブロックの構築が確立できた。 3)内部コア糖鎖の合成 上記で合成した糖ユニットを使い、LOS/LPSの酸性内部コア糖鎖の合成を試み、LOS/LPSに共通発現するKdo(a2-4)Kdo2糖糖鎖の合成を達成した。この合成過程でKdo受容体の4位水酸基の反応性が5位水酸基の反応性に比べて高いことを確認した。また、全ての水酸基の保護基の除去を収率良く行えることを確認した。 4,5-分岐Kdo合成を目指し、Kdo(a2-4)Kdoの還元末端KdoへのHeptoseのα選択的導入条件の検討を行い分岐糖鎖合成を達成した。糖供与体としてイミデート供与体が有効であることを確認した 4)糖-タンパクコンジュゲート合成における基礎条件の確立 上記で合成した単糖または2糖を用いて、ヒト血清アルブミン(HSA)との縮合を行い6-8個の糖鎖を導入した糖タンパクコンジュゲートの作成を達成した。 以上のことからワクチン開発につながるLOS/LPSの内部コア糖鎖を有機化学的手法による合成の基礎を確立できた。還元末端Kdoへの連続したαグリコシド結合の選択的構築による分岐糖鎖合成は初めて達成された。合成によって得られる内部コア糖鎖は、LOS/LPSのコア糖鎖の構造解析のための標品として利用が期待され糖鎖認識タンパクの探索や抗体のエピトープ分析への応用が期待できる。
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Research Products
(5 results)