2008 Fiscal Year Annual Research Report
新規光学活性イオン性液体の開発とそれを反応場とした触媒的不斉反応システムの構築
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19790002
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
齋藤 望 Hokkaido University, 大学院・薬学研究院, 准教授 (80349258)
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Keywords | イオン性液体 / 不斉反応 / 触媒リサイクル / 環境調和型反応 / イミダゾリムタグ / ルテニウム / 環化付加反応 / 環化二量化 |
Research Abstract |
イオン液体(Ionic Liquid=IL)は、一般に高極性で蒸気圧が測定不能なほど低く、また水や有機溶媒と混合し難いため「次世代の溶媒」として様々な有機合成反応の反応媒体として利用されつつある。本研究課題は、反応溶媒としてのILの持つ反応加速効果などの特異な性質と回収、再利用が出来る点に着目し、再利用可能な光学活性イオン性液体を用いた新たな触媒的不斉合成反応システムを構築することを目的としている。当該年度はまず前年度に引き続き、その不斉反応場の当たり不斉誘起能評価のためのベンチマーク反応となるルテニウム触媒による環化反応の検討を進めていたところ、興味深い現象を見出した。すなわち、触媒量のCp^*RuCl(cod)錯体存在下でアレン上にtert-ブチル基、アルキン上にメチル基を持つアレンインを基質としてトルエン中50℃で攪拌すると2つの5員環と3つの4員環が縮環した5環式化合物が高収率で生成する。一方、同基質とCp^*RuCl(cod)をメタノール中室温で反応させたところ5環式化合物は全く得られず、6員環と4員環が縮環したbicyclo[4.2.0]octa-1,6-diene誘導体がほぼ定量的に得られることが分かった。本結果は反応溶媒によって反応経路が劇的に変化したことを示しており非常に興味が持たれるものである。そこでIL中での反応を検討することにした。上記反応で用いているCp^*RuCl(cod)錯体は電気的に中性の錯体であり、電荷を持ったIL中への溶解性に問題があると考えられた。そこで、電荷を持った部位を導入したシクロペンタジエニル配位子を持つルテニウム錯体を新たに設計した。現在イミダゾリウムタグを有するシクロペンタジエニル配位子を合成すべく、γ-ブチロラクトンのブテニル化、Nazarov環化を経てイミダゾール環を持つ配位子ユニットを合成することができている。
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Research Products
(14 results)