2007 Fiscal Year Annual Research Report
高活性有機酸化触媒アザアダマンタン型ニトロキシラジカルの不斉反応への展開
Project/Area Number |
19790005
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
渋谷 正俊 Tohoku University, 大学院・薬学研究科, 助手 (40359534)
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Keywords | 不斉酸化触媒 / ニトロキシラジカル / TEMPO / アルコール酸化反応 / 環境調和 / 不斉触媒 |
Research Abstract |
2年間の研究機関の初年度に当たる本年度は、ニトロキシラジカル部近傍に極性官能基を配置した触媒が、当初計画したとおり遷移状態の安定化によって不斉発現が起きるのかを検証した。始めに合成したニトロキシラジカル近傍にカルボキシル基を有する触媒はカルボン酸として単離することが困難であったためカリウム塩として調製し検討を行った。インダノールを基質として酸化反応に付すと10%ee以下の不斉誘起にとどまった。カルボキシル基を導入した触媒は取り扱いの観点からも困難であったため続いてジフェニルアルコールを有する触媒の合成を試みた。その結果、ジフェニルの導入は予想以上に困難であった。そこで、合成可能であったジメチルアルコール部を有する触媒を用いて検討を行った。その結果、次亜塩素酸ナトリウムを用いた条件では良好な結果は得られなかったが、ヨードベンゼンジアセテートを用いた条件でα-アセトキシシクロヘキサノールにおいて10%,67.6%ee,29%,42.5%eeと中程度ながら不斉発現が見られた。また、温度を-20℃まで下げると37%,52.6%eeまで不斉収率は向上した。また、ニトロキシラジカルβ位にアミノ基を有する触媒の合成も試みたが、この位置にヘテロ原子を有するニトロキシラジカルはきわめて不安定であり安定に単離することはできなかった。今後は触媒1位のメチル基の不斉誘起に与える影響を調べるため、触媒の1位にメチル基を持たない触媒の合成を検討している。来年度は他の極性官能基導入した触媒などを合成し高いエナンチオ選択性を発現する触媒の獲得を目指していく予定である。
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