2008 Fiscal Year Annual Research Report
高活性有機酸化触媒アザアダマンタン型ニトロキシラジカルの不斉反応への展開
Project/Area Number |
19790005
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
渋谷 正俊 Tohoku University, 大学院・薬学研究科, 助手 (40359534)
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Keywords | 不斉酸化反応 / 有機酸化触媒 / ニトロキシラジカル / 環境調和 / 空気酸化反応 / アルコール酸化反応 |
Research Abstract |
2年間の研究機関の最終年度に当たる本年度は, 前年度の研究において中程度の不斉発現が見られたジメチルアルコール部を導入した触媒を用いて引き続き検討を行った.共酸化剤, 基質など条件検討を行ったが, 前年度に得られた37%, 52.6%eeを超えるエナンチオ選択性を発現させるには至らなかった.そこで, 遷移状態の安定化によるエナンチオ選択性発現モデルによる検討から, 立体障害による遷移状態の不安定化モデルへと戦略を変更して検討を行った.その結果, キラルニトロキシラジカル4-Bn-1-Me-AZADOを用い, フェルニシクロヘキサノールを基質とした場合に, 44%, 98%eeと高いエナンチオ選択性を得ることに成功した.しかしながら, この触媒は, 基質特異性が高く, 環サイズ異なる基質や鎖状基質においてはエナンチオ選択性の発現は中程度以下にとどまった.そこで, さらに広い不斉空間を確保するためMe基よりも鎖長の長いBu基を有する触媒を合成し検討したところ, フェニルシクロペンタノールにおいても43%, 99%eeと高いエナンチオ選択性の発現が確認された. また, 新規共酸化剤の探索から, 温和な条件下に空気を共酸化剤として利用可能とする5-F-AZADO/NaNO_2/Air/rt条件の開発に成功した.本条件は, これまでの次亜塩素酸ナトリウムを共酸化剤とする条件では酸化困難であった2級オレフィンを有する基質もオレフィン部を損なうことなく反応が進行する.さらに, 糖や核酸の誘導体といった反応性の高い多官能基を有する基質のアルコールの酸化においても目的の反応が速やかに進行することを確認した.本手法は, これまでに空気酸化反応として例のない高い反応効率と広い官能基選択性を有する手法であることを明らかにした.しかしながら, これらの反応条件にこれまで合成した光学活性AZADOを適用した場合には, ほとんどエナンチオ選択性の発現は見られなかった.
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