2007 Fiscal Year Annual Research Report
タンパク質の行動制御に基づく新規活性物質の基礎分子医薬化学
Project/Area Number |
19790007
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
青山 洋史 The University of Tokyo, 分子細胞生物学研究所, 助教 (40374699)
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Keywords | 生理活性 / タンパク質 / 有機化学 / 光親和性標識 |
Research Abstract |
本研究ではタンパク質の行動制御という新しい医薬カテゴリーを確立すべく、そのための高次標的創薬手法を確立するためにまず、1、細胞内でのプロテアソーム分解、2、重合阻害、3、血管新生阻害にターゲットを絞って研究を行った。 1、細胞内でのプロテアソーム分解:具体的にはaminopeptidase阻害剤として知られているBestatinが細胞内の抗アポトーシス因子の分解を促す現象に着目し、これをリード化合物として、抗アポトーシス因子のプロテアソーム分解促進による抗アポトーシス阻害剤の開発を行った。その結果、Bestainを上回る活性化合物の開発に成功した。 2、重合阻害:代表者らが開発したサリドマイドの構造展開化合物5HPP-33およびFPP-33には既に強いtubulin重合阻害活性が認められていた。そこでこれら化合物のハイブリッド体5HFPP-33を合成し、その活性評価を行った。その結果、これまでに開発してきた化合物群の中でも、最も強いtubulin重合阻害効果を示すことが分かった。 3、血管新生阻害:Decalin骨格を有するFusarielin A (FSA)は代表者らが見出した天然有機化合物で、血管新生に重要な管腔形成阻害効果を有することを見出した。本研究ではFSAが示す管腔形成阻害メカニズムの解明を目的として種々の構造展開を行い、プローブ化を目指した。その結果、FSAが有する2つの水酸基の一方は修飾可能であることが分かった。さらに蛍光性および光反応性官能基を有する誘導体を作成したところ、活性が保持されていることが分かり、実際の光親和性標識実験へ適応可能であることも分かった。 上述の研究は全て小分子のよるタンパク質の行動制御がなされており、学術的にも興味深い事象である。さらに本研究の進行により新しいメカニズムベースでの抗がん剤の開発が期待される。
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