2008 Fiscal Year Annual Research Report
タンパク質の行動制御に基づく新規活性物質の基礎分子医薬化学
Project/Area Number |
19790007
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
青山 洋史 The University of Tokyo, 分子細胞生物学研究所, 助教 (40374699)
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Keywords | 生理活性 / タンパク質 / 有機合成 / 光親和性標識 / アミノ酸 |
Research Abstract |
本研究課題ではタンパク質の行動制御という新しい医薬カテゴリーの確立を目指し、そのための高次標的創薬手法を確立するために、1、細胞内でのプロテアソーム分解、2、重合阻害、3、血管新生阻害にターゲットを絞って研究を行った。前年度では上記課題2および3に関する研究を重点的に行ったため、本年度は課題1を中心として研究を進めた。課題1に対して前年度ではaminopeptidase阻害剤ζして知られているBestatinが正常な細胞死(アポトーシス)を阻害しているタンパク質cIAPIの分解を促す現象に着目し、これをリード化合物として、抗アポトーシス因子のプロテアソーム分解促進による抗アポトーシス阻害剤の開発を行った。その結果、Bestatinを上回る活性化合物の開発に成功した。本年度は前年度の研究をより高次なものにするために、開発した化合物の作用機序の解明を目的とした研究を展開した。具体的には前年度に開発した化合物に蛍光性官能基を導入し、蛍光偏光法を活用したclAPI内の標的部位の同定を行った。その結果、開発した化合物の標的部位はclAP1の亜鉛結合モチーフであるBIR3ドメインであることを明らかとした。 上述の研究は小分子によるタンパク質の行動を低濃度で制御できる化合物の開発から始まり、その作用機序の解明研究の一環として標的部位の同定まで達しているため、学術的にも筋が通った研究になったと考えられる。また、本研究は新しい作用機序による抗ガン剤の開発が見込まれ、今後の研究の進行による応用研究が期待される。
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