2008 Fiscal Year Annual Research Report
硫黄-窒素結合の特性を活用する実用的合成反応の開発
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19790012
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
松尾 淳一 Kanazawa University, 薬学系, 准教授 (50328580)
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Keywords | 全合成 / 立体選択的 / 化学選択的 / 不斉合成 / Diels-Alder / 抗菌剤 / 天然物 / ラジカル環化 |
Research Abstract |
Platensimycin(1)は細菌の脂肪酸合成酵素の一つであるFabFを阻害し、MRSA,VREなど多剤耐性菌に有効な次世代型抗菌剤の候補として注目を集めている。我々はその顕著な生物活性とその脂溶性部分のカゴ状骨格構造に興味を持ち、1の合成研究を行った。最初に、2-allyl-4-benzoyloxycyclohex-2-en-1-one(2)とDanishefskyジエンとの立体選択的Diels-Alder反応によって二環性骨格を構築した。その後パラジウム触媒を用いる触媒的分子内アルケニルエーテル化によってジヒドロピラン環を構築した。さらにこのジヒドロピラン環の酸素α位にラジカルを生じさせて渡環型ラジカル環化を行い、1の合成中間体であるNicolaou中間体を立体選択的に合成した。本合成ルートは、その立体選択性を論理的に予測できる点に特徴があり、今後様々な誘導体合成に応用できる可能性がある。また、D-プロリンを不斉源とするジアステレオ選択的アルキル化に続くカルボラクトン中間体のSc(OTf)3を用いる化学選択的fragmentationによって、ジエノフィルである2の不斉合成ルートを確立し、1の不斉形式合成を達成した。またこの手法は、様々な光学活性2-alky1-4-hydroxycyclohex-2-en-1-oneの合成に用いることができることを明らかにした。また、1の側鎖部分を含めた立体選択的合成を目的として、八員環シロキシジエンのDiels-Alder反応を検討したところ、シクロヘキセノン誘導体とは反応しないが、強力なジエノフィルであるテトラシアノエチレンとは円滑にDiels-Alder反応が進行することを明らかにした。八員環シロキシジエンのDiels-Alder活性が低い理由は、ジエン部分のコンホメーションが平面となっていないためであると考えられる。
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Research Products
(5 results)