2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19790013
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
吉村 智之 Kyoto University, 化学研究所, 助教 (20432320)
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Keywords | 有機合成化学 / 天然物合成 / 不斉記憶 |
Research Abstract |
当研究室では既に不斉記憶型反応を用いる四置換炭素含有アミノ酸誘導体の高エナンチオ選択的合成法を報告している。不斉記憶型反応による四置換炭素構築法は、出発原料の中心不斉が生成物の中心不斉に転写されるため、不斉触媒や不斉補助基なしに不斉誘導が可能であり、効率的な反応である。そこで、本概念を四置換炭素含有キラルエーテル類の合成に適用し生理活性天然物の合成を指向した効率的合成法の開発を行った。 不斉記憶型反応によるキラルエーテル合成で問題となるのは、中間体で生じる面性不斉エノラートの環化速度とそのラセミ化速度である。すなわち、面性不斉エノラートのラセミ化より速く環化反応が進行すれば、生成物の高い光学純度が期待できる。そこで、エノラートのラセミ化半減期に影響を与える塩基、溶媒及び芳香環上の置換基を五員環環化において検討した。その結果、塩基にNaHMDSを用いTHF中-78℃で反応を行うことで、収率良く環化体が得られることが分かった。このとき、芳香環上のC2位の置換基の嵩高さによりその光学純度に変化があることが判明した。これは、C2位の置換基がラセミ化半減期に大きな影響を与えることを示唆している。 次いで、六員環環化においても同様に塩基、溶媒、芳香環上の置換基効果を検討した。環化反応はLDA、NaHMDS、KHMDSの強塩基により進行したものの、五員環環化とは異なりその光学純度は芳香環上のC2位置換基の嵩高さによらずラセミ体であった。そこで、他の位置の置換基効果も検討したところ、六員環環化においてはC5位の置換基も光学純度に多大な影響を及ぼすことが判明した。すなわち塩基にLDAを用いTHF中-78℃で反応を行うことで、C2にイソプロピル基、C5位にメチル基を有する基質で72%eeの環化体が得られた。これはC5位の置換基が側鎖の求電子基を中間体のエノラートに近づけたため、ラセミ化より環化が早く進行した為であると考えられる。
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Research Products
(1 results)