2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19790013
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
吉村 智之 Kyoto University, 化学研究所, 助教 (20432320)
|
Keywords | 有機合成化学 / 天然物合成 / 不斉記憶 |
Research Abstract |
原料の中心不斉を一時的にエノラートのC-O軸に転写した活性中間体エノラート、を経由する不斉合成法(不斉記憶型反応)の開発を行うと共に、それを用いた生理活性天然物の合成を行った。本不斉反応で重要な位置を占めるエノラートのラセミ化障壁及び-78℃におけるラセミ化半減期を温度可変NMRを用いて算出した。その結果、ラセミ化障壁が11.5kcal/molであり、-78℃における半減期は1秒以下であることが判明した。しかしながら、反応条件の精査と、適切な基質の設計によりこの単寿命の活性種を用いる不斉反応に成功し、分子内五員環環化に適用することで最高99%eeで四置換炭素含有テトラヒドロフランの合成に成功した。一方六員環環化においては85%eeであった。両反応における光学純度の差は環化反応の速度の差に由来する。また、それぞれ得られた環化体の絶対配置を決定し、五員環環化においては出発原料の不斉点が保持され、六員環環化では反転するということを明らかにした。メカニズムについては現在も検討中である。本反応は出発原料として用いた乳酸エステルの不斉を唯一の不斉源とし、その全炭素を余すことなく用いていることから乳酸を出発原料とする四置換炭素含有エーテル類の合成として最も直接的な方法でありアトムエコノミーの点からも優れている。 本反応を用いて生理活性物質(R)-efaroxanのアンチポードを合成した。(R)-efaroxanはアドレナリンα_2受容体のアンタゴニストとして作用することからII型糖尿病薬として期待されている化合物である。合成を行うにあたりキラルヒドロキはシエステルとして(2S)-2-hydroxybutyric acid ethyl esterを用いた。このエステルは乳酸部分のメチル基がエチル基に置き換わったものである。環化前駆体の合成は立体的要因から大変困難であったが、光延反応の条件を精査しその間題を解決しだ。また、環化反応は問題なく進行し、環化体が97%eeで得られた。
|
Research Products
(2 results)