2007 Fiscal Year Annual Research Report
パラジウム触媒を用いた高度置換不斉分子の立体選択的構築法の開発と展開
Project/Area Number |
19790015
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
吉田 昌裕 The University of Tokushima, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 准教授 (10344681)
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Keywords | パラジウム / 連続反応 / 環化反応 / ボロン酸 / 二酸化炭素 / アルキン / 不斉反応 / アレン |
Research Abstract |
炭酸プロパルギル化合物はパラジウム触媒存在下ソフトな求核剤と反応し、多様な置換生成物を与えることが知られている。例えば炭酸プロパルギル化合物に対し、求核剤としてアセト酢酸メチルを作用させると、ジヒドロフラン体が生成することが見出されている^<1)>。本反応ではπ-プロパルギルパラジウムの生成、続く求核剤の付加を経て生じたπ-アリルパラジウムに対し、エノラートの分子内求核付加が進行することで生成物が得られてくる。 本反応は置換ジヒドロフラン体を得る有用な反応ではあるもののしばしば二重結合が異性化し不斉中心が失われたフラン体が主生成物として得られてくる。このため、基質の不斉中心がどのように生成物に反映されるか等立体化学に関する研究はあまり行われてこなかった。今回パラジウム触媒存在下における炭酸プロパルギル化合物に関する新たな展開として、2位に置換基が導入された1,3-シクロヘキサンジオンを求核剤に用いた反応の開発を目指し、検討を行った。 パラジウム触媒存在下炭酸プロパルギルエステルに対し求核剤として2-メチルー1,3-シクロヘキサンジオンを作用させたところ、連続的な反応が進行し四級不斉炭素中心を持つテトラヒドロベンゾフラノンが立体選択的に得られることを見出した。本反応はπ-アリルパラジウム中間体の生成後、エノラートの分子内環化が立体選択的に進行することで生成物が生成したものと考えられる。本反応は様々な置換プロパルギル化合物及び2位に置換基を導入した1,3-シクロヘキサンジオンに対して適用可能であり、それぞれ相当する置換テトラヒドロベンソゾラノン体が高収率で得られてくる。 今回開発した反応は四級不斉中心を有するテトラヒドロベンゾフラノン体が高立体選択的に生成することから、本基骨格をもつporosin等の天然物合成の効率的合成に有用であるといえる。
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