2008 Fiscal Year Annual Research Report
パラジウム触媒を用いた高度置換不斉分子の立体選択的構築法の開発と展開
Project/Area Number |
19790015
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
吉田 昌裕 The University of Tokushima, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 准教授 (10344681)
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Keywords | アルキル化 / カルボニル化合物 / α-アルケニル化 / パラジウム / アルケニルブロマイド / 位置選択的反応 |
Research Abstract |
カルボニル化合物のα-アルキル化反応は基本的な合成反応のひとつであり、sp3炭素をケトンのα位に容易に導入することが可能である。これに対し、α-アリール化やα-アルケニル化反応のようなsp2炭素を直接ケトンのα位に導入することはこれまで困難とされてきた。しかしながら近年、パラジウム触媒を用いるカルボニル化合物のα-アリール化反応が見出され、有機合成においてα-アリール置換体を得る一般的合成法として利用されるようになった。本反応は非対称ケトンを基質に用いた場合、通常立体障害が少ない側のα炭素が選択的にアリール化される。従って本反応を用いてカルボニルα位に四級不斉炭素中心を構築するためには、一方のα位を保護して行う必要があった。今回ケトンのα位にアリールもしくはアルケニル基が導入された基質に対しα-アルケニル化反応を試みたところ、四級不斉炭素中心を持つα-アルケニル化体が位置選択的に生成することを見出した。即ちα位にアリールが導入された非対称のケトンに対し、パラジウム触媒及び塩基NaHMDSの存在下、アルケニルブロマイドを作用させると位置選択的なα-アルケニル化が進行し、四級不斉中心を持つ成績体が単一の生成物として得られてきた。本反応の推定される反応機構として、はじめに基質であるα-アリールケトンは塩基と反応し、より熱力学的に安定なアリール基と共役したナトリウムエノラートが選択的に生成する。続いてパラジウムとアルケニルブロマイドより生じたアルケニルパラジウム種とトランスメタル化することでパラジウムエノラートが生成し、その後C-エノラート中間体からパラジウムが還元的脱離することで4級不斉中心を持つアルケニル置換された成績体を位置選択的に与えたものと考えられる。本反応は多様なケトンとアルケニルハライドに適用可能であり、汎用性の高い手法である。
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