2008 Fiscal Year Annual Research Report
ジエノラートの化学を活用する効率的多置換芳香環化合物構築法の開発と応用
Project/Area Number |
19790021
|
Research Institution | Tohoku Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
今堀 龍志 Tohoku Pharmaceutical University, 薬学部, 助教 (90433515)
|
Keywords | 多置換芳香環化合物 / Pd触媒 / クロスカップリング / フェノール / ビアリール / アリール化 / 多段階反応 / ジエノラート |
Research Abstract |
芳香環化合物は医薬、機能性分子、機能材料と多岐にわたる分野で利用される有用化合物であり、多様な芳香環化合物の効率的構築法の開発が求められている。しかしながら、芳香環化合物の修飾反応はバリエーションが少なく、また、選択的も低いことから、一般に多様な化合物を得ることが困難である。このような背景のもと、本研究では、ジエノラートのα位とγ位の反応性を活用した「ジエノラートの化学」を活用し、効率的多置換芳香環化合物合成法の開発を行った。 Pd(PPh_3)_4-PPh_3(触媒量)、Cs_2CO_3、モレキュラーシーブス存在下、DMF中80℃で2-シクロヘキセノンにプロモベンゼン誘導体を作用させると、γ位でのアリール化と芳香環化が同時に進行し、4-アリールフェノールが生成することを明らかにした(〜61%)。ビアリール化合物は有用な化合物であり、新しい効率的ビアリール構築法を開発することができた。 また、条件を制御することで、2-シクロヘキセノンのα位でMichael付加反応(2-シクロヘキセノン同士の自己縮合)が、また、γ位でプロモベンゼン誘導体とのアリール化反応が進行し、更に2-シクロヘキセノンの芳香環化が進行するという単工程3段階反応が進行することを明らかにした(〜45% for 3 steps)。この反応によって、2つの置換基を導入しつつ、2デシクロヘキセノンから一挙に2,4-置換フェノール合成を構築することができ、多置換芳香環構築法として大変有望な反応であると認識できる。 いずれの反応も、現段階では収率や適用可能な親電子剤の制限等、改善の余地が残されているが、今後改善することで、効率的多置換芳香環構築法として機能し得ると考える。
|