2007 Fiscal Year Annual Research Report
オキサゾリン基を活用したフッ素18標識GABA、アミノ酸、および乳酸の合成
Project/Area Number |
19790028
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
土居 久志 The Institute of Physical and Chemical Research, 分子プローブ設計創薬研究チーム, 副チームリーダー (00421818)
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Keywords | PET / ^18F放射核 / 標識化学 / 合成化学 / 生物活性有機化合物 / GABA / アミノ酸 / 乳酸 |
Research Abstract |
PET(陽電子放射断層画像撮影法)は、化学・生物・薬学・医学が連携した学際研究であり、基礎科学である薬剤の創製ならびに標識反応の開発に始まり、ラットやサルを用いた薬理学検査を経て、最終的には生命科学の究極目標であるヒトの臨床・診断を目的とするものである。PET研究の根幹を成すものは生物活性有機化合物のポジトロン(陽電子)放射核での標識化、つまりPETトレーサーの創製であり、有機化学者による効果的な標識反応の開発は急務の課題である。本研究では、これまで不可能とされてきたGABA、アミノ酸、および乳酸の18F-標識PETトレーサー化を目指すこととした。 本年度は、まずは、GABAのα位^<18>F標識化のための被標識基質(オキサゾリンあるいはオキサゾリジン前駆体)の合成ルートの確立に着手するとともに、とくにPET放射性条件下における求核的[^<18>F]フッ素化反応を実施するための遠隔操作型^<18>F標識用放射性化合物合成装置の立ち上げおよび機器調整を行った。著者が所属する理化学研究所においては本研究課題の推進に必要な求核的[^<18>F]フッ素化反応の実施は初めての試みであったため、上記の被標識基質の合成に先立って、まずは^<18>F-標識研究が実施できるように遠隔操作型合成装置の機器調整、ならびに、本装置を用いた[^<18>F]フッ素化反応条件の確立を優先して行った。その結果、求核的[^<18>F]フッ素化反応の基本条件を確立することができ、今後、本研究を推進する上で必要な^<18>F標識化のための研究基盤を当研究施設において整備することができた。来年度からは、上記標識基質の合成ルートを確立させるとともに、非放射性条件下におけるGABAなどのフッ素化反応の最適化を行う予定である。また本件と並行して、先の遠隔操作型合成装置を用いた^<18>F-標識PETトレーサーの合成に応用展開していく予定である。
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