2008 Fiscal Year Annual Research Report
オキサゾリン基を活用したフッ素18標識GABA、アミノ酸、および乳酸の合成
Project/Area Number |
19790028
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
土居 久志 The Institute of Physical and Chemical Research, 創薬合成化学研究ユニット, ユニットリーダー (00421818)
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Keywords | PET / ^<18>F放射核 / 標識化学 / 合成化学 / 生物活性有機化合物 / GABA / アミノ酸 / 乳酸 |
Research Abstract |
生体丸ごとの分子イメージングを可能とするPET(陽電子放射断層画像撮影法)は化学・生物・工学・薬学・医学が連携した学際研究であり、ラットやサルを用いた薬理学検査を経て、最終的には生命科学の究極目標であるヒトの臨床・診断を目的とするものである。PET研究の根幹を成すものは生物活性有機化合物のポジトロン(陽電子)放射核での標識化、つまりPETトレーサーの創製であり、有機化学者による効果的な標識反応の開発は急務の課題である。当研究では、これまで不可能とされてきたGABA、アミノ酸、および乳酸の^<18>F-標識PETトレーサー化を目指すこととした。 本年度は、乳酸の^<18>F-標識PETトレーサー化を実現するために必要な^<18>F-標識前駆体となる[^<18>F]ヨウ化フルオロメタン(^<18>FCH_2I)の製造法の確立を行った。前年度に引き続いて、まずは^<18>F-放射化学実験が安全に実施できるように遠隔操作型合成装置の機器調整、らびに、本装置を用いた[^<18>F]フッ素化反応条件の確立を優先して行った。一方で、有機化合物の炭素骨格上ヘフルオロメチル基を導入するための先行研究としで、今回新たに開発したPd触媒存在下に、ヨウ化フルオロメタンと有機ホウ素化合物を用いた高速C-フルオロメチル化反応の開発を行った。本反応を用いると、わずか5分でベンゼン環上にフルオロメチル基を導入することが可能であり、現在、実際のPET放射性条件下において先の[^<18>F]ヨウ化フルオロメタン(^<18>FCH_2I)を用いた^<18>F-標識化([^<18>F]フルオロメチル化)を検討しているところである。なお、本研究成果は、Chemistry-A European Journal誌に投稿した(現在印刷中)。来年度からは、上記標識基質の合成ルートを確立させるとともに、非放射性条件下における乳酸やGABAなどのフッ素化反応の最適化を行う予定である。
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