2010 Fiscal Year Annual Research Report
オキサゾリン基を活用したフッ素18標識GABA、アミノ酸、および乳酸の合成
Project/Area Number |
19790028
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
土居 久志 独立行政法人理化学研究所, 分子イメージング標識化学研究チーム, チームリーダー (00421818)
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Keywords | PET / ^<18>F放射核 / 標識化学 / 合成化学 / 生物活性有機化合物 / GABA / アミノ酸 / 乳酸 |
Research Abstract |
本研究では、これまで不可能とされてきたGABA、アミノ酸、および乳酸の^<18>F-標識PETトレーサーの実現を目指してきた。まずは当初の研究計画に沿って、その前駆体となるオキサゾリン化合物の合成を行い、PET放射性条件下において本前駆体を用いた^<18>F-標識体の合成を鋭意検討してきた。本標識合成は厳密な無水条件下で行う必要があるが、PET放射性核種を用いた超希薄濃度(μMレベル)における無水反応の実施は当初の予想以上に困難に直面した。そのため、化学反応の検討に加えて標識用合成装置の改良による解決法を探ってきた。しかしながら、反応中間体となる有機リチウム化合物は、私達が扱うPET放射性条件下においては反応溶液中で徐々に分解してしまった。これは無水反応の難しさのみならずPET化学特有の放射線分解による可能性も考えられた。そこで、思考をこらして、本件と並行して、無水条件を必要とせず、かつ経験的に放射線分解を抑えることが知られているアミド系極性溶媒の使用を念頭にして、[^<18>F]ハロゲン化フルオロメタンを用いたPd触媒によるC-[^<18>F]フルオロメチル化反応の開発を行ってきた。本反応開発の方は順調に進み、新たに開発したPd触媒の使用下に15分の反応時間で目的の[^<18>F]フルオロメチル化体を高収率で得ることができた。そこで、当初の研究方針を一部変更し、このPd触媒によるC-[^<18>F]フルオロメチル化反応を応用して、上記の乳酸をはじめとした目的化合物の^<18>F-標識化の検討を行ってきた。現在、この研究方針は順調に進んでいる。結果としては、本研究期間内(平成23年度まで)に研究をまとめることはできなかったが、研究の原点に立ち返った反応化学的考察により、新しい標識反応を開発することに繋がった(平成23年5月に学会発表)。このように、今後のPET化学研究の推進に重要な化学的知見を得た意義は大変大きい。
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