2007 Fiscal Year Annual Research Report
コンタクトシフトと立体整列同位体標識法を利用した新規蛋白質相互作用解析法の開発
Project/Area Number |
19790029
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
坂倉 正義 The University of Tokyo, 大学院・薬学系研究科, 助教 (20334336)
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Keywords | 核磁気共鳴法 / 蛋白質 / 相互作用解析 / 常磁性 |
Research Abstract |
本研究においては、常磁性物質がタンパク質表面の13C核に対して誘起する常磁性シフトと、立体整列同位体標識法(SAIL標識法)を用いる事により、高分子量タンパク質複合体に対しても適用可能な、新しい蛋白質-蛋白質相互作用界面同定法を開発することを目的とした。解析対象としては、ユビキチン加水分解酵素(YUH)(C90S変異体)とユビキチン(ubi)の相互作用系をモデル解析系として用いた。YUHに対して安定同位体標識を導入し、観測対象とした。(1)サンプルの調製:無細胞発現系、および、アミノ酸要求性大腸菌を用いて、YUHに対して、SAIL標識Leu,Pheを導入する検討を行った。(2)YUHの13C由来シグナルの帰属:SAIL標識サンプル、uniform-2H,13C,15N 標識サンプル、50%-2H,uniform-13C,15N 標識サンプルを用いて、YUH、YUH-Ubi複合体の13C核由来シグナルの帰属を行った。シグナルの帰属は、HC(CO)NH、15N-NOESY-HSQC、13C-NOESY-HSQC等の3次元スペクトルを解析することにより行った。この結果、YUHに存在するLeu残基のメチル基(52個)の全てについて、シグナルを帰属することに成功した。(3)13C-NMR測定方法の検討:13C直接検出型実験であるCC-TOCSYについて、重水素デカップル等の測定条件の最適化について検討を行った。(4)常磁性シフトの測定:[SAIL-Leu]標識を導入したYUHについて、1H-13C相関スペクトルを測定した。この結果、[ul-13C-Leu]YUHと比較して高感度・高分解能のスペクトルが得られ、シグナルの縮重が回避された。さらに、ubiquitin結合に伴う常磁性シフト変化を解析した結果、YUH-ubiquitinの結晶構造において結合界面に存在するL44-Cδ1 に由来するシグナルについて、0.18ppmの常磁性シフトの減少が観測された。常磁性シフト解析の解析対象とする事が可能であった原子数は、[ul-13C-Leu]YUHでは27/52個(52%)であったが、[SAIL-Leu]においては、17/26(65%)であった。以上の結果から、SAIL、標識法の導入により、常磁性シフトを用いた相互作用解析法が、高分子量タンパク質に対して適用可能となることが示唆された。
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Research Products
(7 results)