2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19790032
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
村田 克美 Kyoto University, 薬学研究科, 助教 (80372556)
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Keywords | 計算化学 / 創薬 / 生物物理 |
Research Abstract |
前年度までは、タンパク質を剛体と近似し、活性部位の形は結晶構造から得られる形をそのまま用いた。しかしながら、結晶構造は、タンパク質の取り得るさまざまな構造の一つであり、溶液中や活性発現過程ではさらに多数の構造が連続的に存在する。また、結合するリガンドの種類によっても、さまざまな構造を取り得る。この点を考慮することができれば、新規なリガンドを数多く生成できると考えられる。最終年度はこの問題に取り組んだ。具体的には、分子動力学シミュレーションでタンパク質の構造変化をシミュレートする。ただし、通常の分子動力学シミュレーションでは、系がエネルギー曲面の極小状態にとどまってしまい、大きな構造変化が起こらない場合も考えられる。そこで、この問題を解決するために拡張アンサンブル法を用いた0拡張アンサンブル法は、エネルギー極小状態から抜け出し、幅広い構造をサンプリングすることができる手法である。元々は、物性物理分野で開発された手法であるが、近年、タンパク質、核酸などの生体分子にも応用されるようになってきた。これにより得られたタンパク質のさまざまな構造の各々に対して溶媒双極子場を計算して、前年度までに開発したプログラムを用いてリガンドの骨格を生成する。生成したリガンドの骨格をクエリとして、CK2という腎炎治療薬の標的蛋白質に対して、300万化合物からなる市販試薬ライブラリーから100化合物を選抜し、実験で阻害活性を測定した。その結果、構造に多様性のある約30個の新規阻害剤分子を見出すことに成功した(30・Mで50%以上の酵素阻害能のあるものをヒットと定義した)。通常、コンピュータスクリーニングでのヒット率は10%もあれば良い方であるが、その3倍の30%のヒット率が得られた。
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Research Products
(1 results)