2008 Fiscal Year Annual Research Report
医療機器の適正使用に関する研究-可塑剤溶出の制御-
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19790040
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Research Institution | Hoshi University |
Principal Investigator |
伊藤 里恵 Hoshi University, 薬学部, 助教 (90398892)
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Keywords | 医療機器 / 代替可塑剤 / 暴露量評価 |
Research Abstract |
ポリ塩化ビニル(PVC)製医療機器に使用される可塑剤の溶出量測定におけるガンマ線照射線量の影響を検討した。前年度までの研究において、フタル酸ジ-2-エチルヘキシル(DEHP)溶出量と比較し、トリメリット酸トリス-2-エチルヘキシル(TOTM)溶出量が非常に少なかったことから、ガンマ線照射線量の違いを検出できないことが懸念された。そこで、PVC/DEHPシートを用いて、DEHP溶出量を測定しTOTM溶出量を推量することにした。ところで、ガンマ線照射滅菌における通常の滅菌線量は、20〜25kGyである。しかし、ガンマ線照射は一度に大量の試料を照射するために、試料によっては、吸収線量に差が生じることから、ガンマ線吸収線量は0〜50kGyで検討した。液体クロマトグラフィー(LC)-タンデム質量分析法(MS/MS)のマルチプルリアクションモニタリング(MRM)で測定した結果、可塑剤の溶出量は、ガンマ線の吸収線量に依存して減少していた。さらに、DEHPの分解物であるフタル酸モノ-2-エチルヘキシル(MEHP)が吸収線量に依存して増加していた。溶出したDEHP量から推量するTOTM溶出量は、定量下限値付近になると考えられた。また、滅菌線量のガンマ線を照射したPVC/TOTMシートからの溶出量を用いて、リスク評価を試みた。TOTMは耐容一日摂取量などが決められておらず、実験動物を用いたNOEL値も非常に低かった。さらに溶出量が極少量であることから、TOTMの可塑剤としての有用性は高いものと考えられた。
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Research Products
(6 results)