2007 Fiscal Year Annual Research Report
化学物質の腎毒性発現に関与する生体内レドックス変化の非侵襲的測定法の確立
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19790042
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Research Institution | Sojo University |
Principal Investigator |
岡崎 祥子 Sojo University, 薬学部, 助教 (40435152)
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Keywords | レドックス / ESR / グルタチオン抱合体 / 腎毒性 / 活性酸素 |
Research Abstract |
本研究では、電子スピン共鳴(ESR)を用いて腎臓におけるレドックス変化を非侵襲的に測定するため、ニトロキシルプローブのレドックス(ニトロキシル/ヒドロキシルアミン)を利用する。生体内は還元状態に維持されているため、ヒドロキシルアミン型プローブを用いて酸化状態に傾いた時に現れるESRシグナルを検出したほうが有利と考えられるが、ヒドロキシルアミンは容易に空気酸化されるため、そのままでは投与に適さない。そこで、生体内での還元反応に耐性があるニトロキシルプローブcarbamoyl-PROXYL(CP)に、投与までのヒドロキシルアミンの空気酸化を抑えるためにアシル保護を施したプローブ(ACP)を合成した。ACPの収率は41%であり、常磁性種(CP)の混入は0.01%以下であることをESRで確認した。 ACP投与後の腎臓におけるESRシグナルの測定条件の検討のため、健常マウスの背部右側の一部を切開し、右腎を露出させた後、尾静脈よりACPを投与した。サーフェイスコイル型共振器を、露出させた腎蔵に接触させてESR測定を経時的に行ったところ、ESRシグナルが小さい、測定中のマウス体温が著しく低下するなど、そのままの条件では病態マウスとの比較が困難であることが判明したため、使用するプローブの選定、測定中の体温維持の方法等について検討を重ねることとした。 腎毒性を発現させる化学物質としてハイドロキノンのグルタチオン抱合体(HQ-GSH)の合成を行った。ベンゾキノン水溶液とグルタチオン水溶液を混和して反応させ、HQ-GSH抱合体粗画分を得た。HPLC(逆相カラム使用)によりHQ-GSH抱合体粗画分を1置換抱合体、2置換抱合体、3置換抱合体に分離・精製した。細胞毒性、過酸化水素生成量は3置換抱合体が高いことから、マウスには3置換体を投与し、腎障害病態マウスを作成することとした。今回の合成で3置換体の収率は16.4%だった。
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