2008 Fiscal Year Annual Research Report
多次元HPLCシステムを利用した食物アレルギー原因物質の抗原性解析
Project/Area Number |
19790044
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Research Institution | National Institute of Health Sciences |
Principal Investigator |
酒井 信夫 National Institute of Health Sciences, 代謝生化学部, 主任研究官 (60370938)
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Keywords | 食物アレルギー / 抗原解析 / 高速液体クロマトグラフィー / ウェスタンブロッティング |
Research Abstract |
平成20年度は、前年度に引き続き、わが国における食物アレルギーの発症率及び重篤度の高いものの中で、主要抗原が塩不溶性のため、これまでに解析の研究が進んでいない穀物類(小麦、大麦、ライ麦等)の主要抗原について2次元HPLCシステムを利用したプロファイリング分析を試みた。 イオン交換クロマトグラフィーを1次元目に、逆相クロマトグラフィーを2次元目に組み合わせたシステムを用いて、穀物類に含まれるタンパク質を定性的かつ定量的に分析した結果、穀物はその品種によって、成分組成比及び濃度が異なることが明らかになった。2次元HPLCによって分画したスポットのうち、小麦アレルギー患者血清と反応したタンパク質はω-5 gliadin、α-, γ-gliadins、低分子albuminsであった。更に、これら2次元クロマトグラムのプロファイリング結果を統計解析用のコンピューターソフトにより、定量性を含めた3次元マップとして可視化した。今後、2次元HPLCプロファイル上での主要アレルゲンの詳細な解析を行うことで、品種特異的及びアレルギー患者特異的な抗原解析が可能になると考えられる。2次元HPLCシステムによるタンパク質の分離は、2次元電気泳動と比較して分離能、再現性、操作性、迅速性及び経済性の面で格段に優れており、その汎用性も極めて高いと考えられることから、アレルゲノミクスにおける分析技術を新たに提案するものと期待される。
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Research Products
(6 results)