2008 Fiscal Year Annual Research Report
内膜輸送系を介したγセクレターゼ基質特異性制御機構の解析
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19790049
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高杉 展正 The University of Tokyo, 大学院・薬学系研究科, 助教 (60436590)
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Keywords | アルツハイマー病 / γセクレターゼ / Notch / APP / RNA干渉法 |
Research Abstract |
アミロイドβ蛋白(Aβ)はアルツハイマー病(AD)患者脳内に蓄積する老人斑の主要構成成分であり、Aβの産生を担う酵素γセクレターゼは、AD予防・治療薬の開発において、重要な創薬ターゲットとなると考えられる。しかしγセクレターゼはAβ前駆体タンパク質(APP)を切断するとともに、Notchタンパク質も切断する。Notchの切断は多様な組織の分化・生存を制御することが報告されており、単純なγセクレターゼの阻害は重篤な副作用を誘発する。そのためγセクレターゼをターゲットとしたAD創薬には、APPとNotchの切断活性の分子機構を解明が重要である。 これまでに我々はショウジョウバエ培養細胞を使ったRNAiによる遺伝子ノックダウンにより、ゲノムワイドなスクリーニングを行い、γセクレターゼの活性を制御する18個の遺伝子(GAMma-secretase MOdubtor : GAMMO)を同定していた。本年度は特に種間で保存性の高いGAMMO3(Surf4)およびGAMMO5(TMEM202)に注目して詳細に検討した。GAMMO3は4回膜貫通タンパク質であり、その酵母ホモログはER-Golgi間輸送において可溶性タンパク質の選別輸送に関与していることが報告されている。我々はショウジョウバエGAMMO3のRNAiLにより、Notchタンパク質の形質膜への輸送が不全になるなど、GAMMO3がNotchの選別輸送に関与していることを明らかにした。一方GAMMO5は膜タンパク質であること以外の性質は不明であったが、我々の研究から、そのノックダウンにより小胞体(ER)の形態が大きく変化することが示され、ERの形態維持に寄与していることが明らかになった。以上より、ERからGolgiへの輸送によってγセクレターゼの基質特異性が決定している可能性が示唆された。
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Research Products
(3 results)