2007 Fiscal Year Annual Research Report
アトピー性皮膚炎の痒み誘発関連皮膚内プロテアーゼの同定と痒みの発生機構
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19790051
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
安東 嗣修 University of Toyama, 大学院・医学薬学研究部, 准教授 (50333498)
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Keywords | かゆみ / プロテアーゼ / アトピー性皮膚炎 / 皮膚 / 一次感覚神経 |
Research Abstract |
アトピー性皮膚炎の痒みへプロテアーゼの関与と同定を試みるべく,アトピー性皮膚炎マウス(NCマウス)を主に用いて検討し,現在までに次のような成果を得た。先ず,様々な起痒物質に対して反応性の高いICR系マウスを用いてセリンプロテアーゼのカリクレインの起痒作用に関して調べた。各種カリクレインの皮内注射によりカリクレイン5及び7において溶媒注射群と比べると有意に掻き動作数の増加が観察された。したがって,セリンプロテアーゼが痒みに関与している可能性が高く,カリクレインでは5及び7が痒みの発生に重要であると考えられる。 アトピー性皮膚炎のモデルマウスであるNCマウスは,微生物制御されたSPF環境下で飼育すると健常に育つが,微生物制御されていないコンベンショナル環境下で飼育すると皮膚炎の発症と激して痒みを生じる。皮膚炎・掻痒発症NCマウスの自発的掻き動作と皮膚内のセリンプロテアーゼ活性は,セリンプロテアーゼ阻害剤により抑制された。皮膚炎・掻痒発症NCマウス皮膚では,健常NCマウスと比較すると,セリンプロテアーゼ活性陽性細胞数(おそらくマスト細胞)の増加とマスト細胞由来セリプロテアーゼ(MCP-6と7)mRNAとグランザイムA mRNAの発現増加が観察された。また,セリンプロテアーゼによって活性化される受容体にプロテアーゼ活性化受容体(PAR)がある。SPF飼育環境下マウスへのPAR1〜4それぞれの作動薬を皮内注射するとPAR2の作動薬のみ用量依存的に掻き動作を誘発した。皮膚炎・掻痒発症NCマウスの自発的掻き動作は,抗PAR2抗体によって抑制された。免疫染色によりPAR2受容体が表皮ケラチノサイトに発現していることを明らにした。これらのことから,NCマウスの自発的掻き動作にセリンプロテアーゼが関与し,一部表皮ケラチノサイト上のPAR2を介して掻き動作が誘発されている可能性が示唆される。
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Research Products
(2 results)