2007 Fiscal Year Annual Research Report
腸間膜白色脂肪組織形成におけるFGF受容体2の役割とその分子メカニズムの解明
Project/Area Number |
19790056
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小西 守周 Kyoto University, 薬学研究科, 助教 (00322165)
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Keywords | FGF / 白色脂肪組織 / 組織形成 / 受容体 / 肥満 |
Research Abstract |
白色脂肪組織の形成において、成熟脂肪細胞の肥大化過程は重要である。脂肪細胞特異的FGF受容体2遺伝子欠損マウスにおいて腸間膜白色脂肪組織の脂肪細胞の肥大が抑制されることから、そのメカニズムについて検討を試みた。その結果、脂肪細胞特異的FGF受容体2遺伝子欠損マウスでは、脂肪合成や脂肪分解に関わる因子の発現は変化が見られなかったが、エネルギー消費に関わる因子UCP2の発現が亢進していた。従って、FGF受容体2はエネルギー消費を抑制し、その結果脂肪細胞の肥大を亢進するものと考えられた。また、FGF受容体2のリガンドの同定を試みた。一般にFGFは傍分泌因子として働くことから、FGF受容体2に結合親和性があり、かつ腸間膜白色脂肪組織に発現するFGFリガンドを検討したところ、FGF9が腸間膜白色脂肪組織のSV画分に特異的に発現していることを見出した。腸間膜白色脂肪組織の組織片にFGF9を添加することによりUCP2の発現が抑制されることも明らかにした。以上の結果から、生体の腸間膜白色脂肪組織の形成過程では、FGF9-FGF受容体2のシグナリングにより、エネルギー消費が抑制され、脂肪細胞のサイズが増加することが明らかとなった。 一方、肥満症発症時にも脂肪細胞の肥大化が進むことが知られている。そこで、脂肪細胞特異的FGF受容体2遺伝子欠損マウスを高脂肪食で飼育し、肥満症発症時のFGF受容体2の役割について検討を試みた。5ヶ月齢まで高脂肪食で飼育したものの、体重や脂肪組織重量に明瞭な差は認められなかった。従って、FGF受容体2を介するシグナリングは肥満症時における脂肪細胞の肥大には関与しないことが示唆された。
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