2007 Fiscal Year Annual Research Report
ケモカイン受容体CCR2の細胞内シグナル伝達因子FROUNTの構造生物学的研究
Project/Area Number |
19790064
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
吉永 壮佐 Kumamoto University, 大学院・医学薬学研究部, 助教 (00448515)
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Keywords | ケモカイン受容体 / 炎症性免疫疾患 / 構造生物学 / 創薬 / NMR |
Research Abstract |
白血球は,ケモカインの濃度勾配に基づいて走化性を示し,炎症箇所へ速やかに集積する。白血球の走化性は,重要な免疫生体防御反応であるが,自己免疫性疾患における主要な発症原因とも考えられている。ケモカイン受容体CCR2を介したシグナル伝達は,単球およびマクロファージの細胞遊走を担うことから,その異常な活性化が様々な慢性炎症性免疫疾患の発症原因となる。研究協力者である寺島らは,近年,CCR2のC末端領域に結合し,シグナル伝達を制御する新規の細胞内因子FROUNTを見出した(Terashima Y., et. al., Nature Immunol. 6,827-835 (2005))。FROUNTがケモカイン受容体を選択的に認識する機構の解明は,慢性炎症性免疫疾患の治療のために極めて重要である。本研究は,(1)構造生物学的手法に基づくFROUNTのCCR2認識機構の解明,(2)立体構造情報を利用した,FROUNT-CCR2相互作用をターゲットとする慢性炎症性免疫疾患治療薬の創出を目的とする。 当該年度において,各種プロテアーゼへの消化耐性を指標に,FROUNTのCCR2結合領域内に含まれる構造ドメインFNT-Cを見出した。FNT-Cに関して,大腸菌を用いた大量発現系および精製系を確立した。また,酵母ツーハイブリッド法を用いてCCR2のFROUNT結合領域の最適化を行い,より結合能の高い領域を同定した。以上,FNT-C単体,および,CCR2のFROUNT結合領域との複合体の立体構造解析,そして,FROUNT-CCR2相互作用をターゲットとした創薬を行うための基盤を確立することができた。
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