2007 Fiscal Year Annual Research Report
ジアシルグリセロールキナーゼγによる細胞骨格制御機構の解明
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19790065
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
安田 智 Sapporo Medical University, 医学部, 助教 (20381262)
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Keywords | 脂質 / 細胞内情報伝達 / 酵素 |
Research Abstract |
ジアシルグリセロールキナーゼ(DGK)は,ジアシルグリセロール(DG)をリン酸化しホスフアチジン酸を産生する酵素である。また,RacはRhoファミリー低分子量Gタンパク質の一つで,細胞骨格制御における重要な因子である。I型DGKであるDGKγは,上皮成長因子(EGF)に応答してRac特異的GTPase activating proteinであるβ2-chimaerinを活性化し,Rac1活性を抑制する。さらに,DGKγはEGF刺激に応答してβ2-chimaerinと相互作用する。本年度は,細胞刺激に応答したDGKγとβ2-chimaehnの相互作用機構の詳な解析を行った。DGKγとβ2-chimaerinの相互作用は、EGF以外でも、DGアナログであるホルボールエステルや過酸化水素で細胞刺激を行っても誘導された。また、ホルボールエステルと過酸化水素のこれらのタンパク質の相互作用への影響は相乗的であった。DGKγとβ2chimaerinの相互作用において、ホルボールエステルによるβ2-chimaerinの開放型への変換と、過酸化水素によるβ2-chimaerinのC1ドメインからの亜鉛の遊離が重要であることを示した。また、これらのタンパク質の相互作用は、β2-chimaerinのSrchomology2(SH2)ドメインとC1ドメインを必要としたが、SH2ドメインのリン酸化チロシンへの結合能は関与しなかった。これらの結果より、SH2ドメインとC1ドメインが協調した新規のタンパク質相互作用機構が存在することが示唆された。
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