2008 Fiscal Year Annual Research Report
ジアシルグリセロールキナーゼγによる細胞骨格制御機構の解明
Project/Area Number |
19790065
|
Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
安田 智 Sapporo Medical University, 医学部, 助教 (20381262)
|
Keywords | 脂質 / 細胞内情報伝達 / 酵素 |
Research Abstract |
細胞骨格系の制御において、増殖因子刺激によるシグナル伝達は重要な役割を果たしている。脂質代謝酵素であるジアシルグリセロールキナーゼ(DGK)のいくつかのアイソザイムは、増殖因子に応答したシグナル伝達を制御していることが報告されている。しかしながらDGKの生理作用はその脂質代謝能のみで説明がつかず、各々のDGKアイソザイムにおいてエフェクター分子が異なることが広く考えられている。昨年度はDGKγによるRac特異的GAPであるβ2-カイメリンの制御機構の詳細を報告した。今年度は他のDGKアイソザイムによる増殖因子刺激によるシグナル伝達の制御について検討を行った。DGKηDPHドメインを有するII型DGKである。DGKηの細胞機能における役割を見出すため、DGKηに特異的なsiRNAを用いてDGKη発現抑制を行った。siRNAによるDGKηの細胞内タンパク質量の減少は、抗DGKη抗体を作製し確認した。興味深いことにDGKη発現をノックダウンした細胞では、増殖因子刺激によるERK1/2活性化が抑制されていた。MAPキナーゼであるERK1/2は転写因子活性制御による細胞増殖・分化以外にも、細胞骨格系の制御に関わっているということが報告されている。DGKηによるERK1/2活性化メカニズムの詳細については今後の検討課題であるが、DGKηが増殖因子刺激による細胞骨格系の制御に関わっている可能性が示された。
|