2008 Fiscal Year Annual Research Report
恒常的活性化型JAK2(V617F)変異体による真性赤血球増加症発症機序の解析
Project/Area Number |
19790071
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
多胡 めぐみ Keio University, 薬学部, 助教 (30445192)
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Keywords | JAK2 / V617F変変異 / 真性赤血球増加症 / L611S点変異 / 白血病 / リン酸化 / Y913 / 腫瘍形成能 |
Research Abstract |
真性赤血球増加症患者で見出された点変異V617Fにより、JAK2は恒常的な活性化を示すことが報告されているが、その詳細な活性化機構およびJAK2変異体の機能は不明であった。本研究では、まず、1.JAK2の活性化機構を解明する目的で、活性を制御する新たな自己リン酸化部位の探索を行い、新規のリン酸化部位としてY913を同定した。さらに、変異体を用いた実験から、Y913のリン酸化によりJAK2は不活性化されることを明らかにし、自己リン酸化によるJAK2の活性制御機構が存在することを示した。続いて、2.JAK2変異体の機能解析を行った。JAK2V617F変異体発現細胞は、抗アポトーシス作用を示し、異常な増殖を誘導した。また、ヌードマウスにJAK2V617F変異体発現細胞を投与すると、各臓器への腫瘍細胞の浸潤、脾臓・肝臓の肥大が観察され、JAK2変異体は腫瘍形成能を有することが明らかになった。さらに、JAK2変異体発現細胞を移植後、JAK2特異的阻害剤(AG490)を腹腔内投与することにより、腫瘍形成が有意に抑制され、生存目数が延長された。この結果より、JAK2阻害剤がin vivoにおいても治療薬として応用できる可能性が示された。3.V617F変異体同様、小児白血病患者より同定されたL611S変異を有するJAK2遺伝子が抗アポトーシス作用および腫瘍形成能を有することを見出した。以上の病態由来のJAK2変異体を用いた機能解析により、JAK2の活性制御には分子内のJH2ドメインが重要な役割を果たしていることが明らかになった。現在、4.JAK2V617F変異体のシグナル伝達機構を解析するために、転写因子SW5の活性化を介して発現が誘導された遺伝子をDNAarrayにより探索し、その発現機構の解析を行っている。
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